[ラパス 10日 ロイター] - 南米ボリビアのモラレス大統領が10日、辞任を表明した。10月の大統領選で再選を決めたばかりだったが、選挙を巡る不正疑惑で抗議デモが拡大し、軍も辞任を求めていた。ガルシア・リネラ副大統領も辞任した。

反米主義の強硬左派で14年間政権の座にあったモラレス氏の辞任は、中南米の周辺国に衝撃を与える公算が大きい。

モラレス氏と同じく左派のベネズエラのマドゥロ大統領や、10月のアルゼンチンの大統領選挙で勝利したフェルナンデス氏らはモラレス氏の辞任を「クーデター」だと非難。メキシコのエブラルド外相は、モラレス氏が望めば亡命を受け入れる考えを示した。

ニカラグア政府もモラレス氏への支持を表明、ボリビアで起きていることは「クーデター」であり、「ファシズム的行い」だと批判する声明を発表した。

同大統領はテレビで放映された辞意表明の演説で、国の安定回復のために辞任すると表明する一方、後にツイッターでは、警察が「違法な」逮捕状で自身を逮捕しようとしているほか、「暴徒化した集団」が自宅を襲撃したと訴えた。

一方、ボリビア警察の幹部はテレビのインタビューで、モラレス氏の逮捕状は出ていないと言明した。

モラレス氏はボリビアの経済発展に貢献し貧困率も半減したが、権力に執着し4選を目指す強硬姿勢で周囲から孤立。10月20日の大統領選で勝利を宣言して以降、反発が広がっていた。

10日には軍が、国の平和と安定を回復するためモラレス氏に辞任を求めたと表明。国民には暴力と不正行為をやめるよう呼びかけた。

モラレス氏は10日、10月の大統領選で深刻な不正があったとする米州機構(OAS)の報告書を受け、再選挙の実施を表明していた。

モラレス氏の辞任は、再選挙が実施されるまでの間、権力の空白が生まれることを意味している。

ボリビアの法律によれば、大統領と副大統領が空席となった場合、上院議長が暫定的にその職務を引き継ぐことになっているが、サルバティエラ上院議長も10日に辞任した。

ロイターが取材した憲法学者によると、議員らが今後会議を開き、一時的に行政を担う暫定委員会か、あるいは議員を選定するとみられている。

*内容を追加しました。