レモンの匂いで体が軽く感じられる

「人生がレモンをくれたら、それでレモネードをつくろう(逆境にもくじけず、それをうまく利用しよう)」という諺がある。
しかし、少し自信が揺らいで、何か自信を持てるきっかけを探している人には、こう言った方がいいかもしれない。「人生がすっぱいレモンをくれたら、その香りを嗅ごう」
英サセックス大学の研究者たちはある研究で、香りと香りが身体イメージの知覚に与える影響について2つの実験を行った。
1つ目の実験では、被検者は座ってさまざまな匂いを嗅ぎ、それぞれの匂いを、視覚的アナログスケール(現在の感覚がどの程度かを示す視覚的スケール)を使ってコンピューターに入力した。それにより彼らが「匂い」および「匂いと自分の関係」をどのように知覚するかを調査した。
2つ目の実験でも、被検者はさまざまな匂いを嗅いだ。しかし今度は、木の板の上に立たされた状態で、だ。
彼らはヘッドフォンとモーションキャプチャーのセンサーをつけ、足音のピッチを変える靴型のデバイスを履き、木の板の上を歩いた。それから、自分自身と自分の体をどのように知覚したかに基づいて、コンピューター上の3Dのアバターの体型を調整した。最後に、自分が知覚したことやスピード感についての質問に回答した。
実験終了後、被検者はレモンの匂いを嗅いだときに体が軽くなったと感じたと話した。バニラの匂いでは、逆に体が重くなったと感じたという。
匂いと足音のピッチの変化とを組み合わせると、さらに多様な実験結果を得ることができた。レモンの匂いと高いピッチの足音が組み合わさると、より体が軽くなったと感じたのだ。

ネガティブな行動を変える可能性も

この研究は、オフィスで仕事をするあなたにとって興味深いものだろう。理由は2つある。
1つ目は、やる気が出なくてエンジンがかからないと感じることは、誰にでもあることだからだ。レモンの匂いをちょっと嗅ぐだけで、そんな落ち込んだような感覚から抜け出し、体が軽くなり、てきぱき動いて、生産性が上がると感じるかもしれない。
そんなことができるとしたら、ケータリングの食事を食べながら長時間にわたる会議に参加した後など、とくに便利ではないか。
2つ目は、米国では肥満問題が非常に厳しいということだ。米疾病予防管理センター(CDC)は、米国における成人の肥満の割合が39.8%に達しているという驚くべき事実を発表している。およそ9330万人が肥満なのだ。そして残念なことに、人は他人を判断する際に依然として体形や体重、外見を基準としている。
しかし行動というものは、考え方や感情、感じ方とつながりがある。
もし体が軽くなったと感じるなら、仕事上で自分のマイナスになるようなネガティブな行動に陥りにくくなるかもしれない。自分の体に自信が持てないから質問するのはやめておこうとか、チームワークを高めるイベントに参加するのはやめておこうといった行動が減るかもしれないのだ。
ここで大きな問題がある。ほかの人たちがどう感じるかを配慮しながら、どうやってレモンの匂いを楽しむか、だ。
比較的心地よい匂いであっても、強すぎると嫌がる人もいる。頭痛がするなど、匂いに敏感な人もいる。そして、レモンの匂いは天然でなければならないのか、それとも人工的なもので十分なのかについては、より多くの研究が行われる必要がある。
そうした事実を考慮すると、レモンで体が軽く感じる方法として一番簡単なのは、おそらく、水筒にレモンのスライスを入れておくか、弁当のおかずにレモンを使うことだろう(レモンドレッシングをかけたサーモンサラダなどはどうだろう)。
ハンドバッグやポケット、机の引き出しなど手近なところに、エッセンシャルオイルのボトルを入れておくのもいい。どの方法であっても、オフィスで求められる節度を守っていれば、レモンはあなたに味方してくれるだろう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Wanda Thibodeaux/Copywriter, TakingDictation.com、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:5second/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.