[ワシントン 6日 ロイター] - トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡り、米下院情報特別委員会は来週、国務省高官3人の公聴会を開催する。彼らは既に非公開の証言で、トランプ氏がウクライナに対し、来年の大統領選の民主党有力候補、バイデン前副大統領の醜聞探しをするよう圧力をかけたとの疑惑を指摘している。3人はどのような立場にあり、これまで何を語ってきたのか。

<ウィリアム・テーラー駐ウクライナ代理大使>

テーラー氏は弾劾調査で最も重要な証言をいくつか行っている。10月22日の証言では、米国のウクライナへの軍事支援と米・ウクライナ首脳会談が、ともに政治的な理由で遅れたことを知り、懸念していたと述べた。

ゼレンスキー・ウクライナ大統領が求めていた米との首脳会談について、テーラー氏は今年7月半ばまでに、「(ウクライナ企業)ブリスマと2016年米大統領選へのウクライナの干渉疑惑を捜査する約束を(米国が)会談の条件にした」と確信した、という。

ブリスマはバイデン氏の息子のハンター氏が幹部を務めたウクライナの会社。トランプ氏は、ロシアではなくウクライナが16年の米大統領選に干渉したという陰謀論を展開した。

ウクライナ政府は同国東部で親ロシア派武装勢力との戦いを続けているが、米国はウクライナに対する3億9100万ドルの支援金を凍結した。これについて、テーラー氏はテキストメッセージで「選挙活動への支援を求めて軍事支援を保留するなどは正気のさたではない」と懸念を示した。テキストは下院民主党調査団が公開した。

テーラー氏の証言によると、米国のソンドランド駐欧州連合(EU)大使はウクライナ高官に対し、ゼレンスキー大統領がブリスマの捜査を公に約束するまで米は軍事支援をしないと通告した。この証言を受け、ソンドランド氏は記憶が「蘇った」とし、下院委員会に対して、その内容を認める修正証言を提出した。

トランプ氏は対ウクライナ支援を保留した背景にこのような取引があったとの疑念を否定している。

テーラー氏の証言は13日に予定されている。

<マリー・ヨバノビッチ前駐ウクライナ大使>

ヨバノビッチ氏は5月に突然、駐ウクライナ大使の職を解任された。同氏は10月11日の証言で、トランプ氏の弁護士であるジュリアーニ元ニューヨーク市長から攻撃され、その後トランプ氏が「根拠のない虚偽の主張」に基づいて自身を解任したと述べた。

ヨバノビッチ氏は、ジュリアーニ氏の仲間らが「ウクライナにおけるわれわれの反汚職政策によって自らの金銭的野望が邪魔されると考えたのではないか」と述べた。

ヨバノビッチ氏はまた、ソンドランド駐EU大使から、解任を避けるためツイッターでトランプ氏への支持を表明するよう促されたと述べた。

ヨバノビッチ氏の証言は15日に予定されている。

<ジョージ・ケント国務副次官補>

ケント氏は10月15日の非公開証言で、ジュリアーニ氏らによるウクライナへの圧力に警戒感を抱いたとし、ジュリアーニ氏が情報収集で頼っていた人々の詳細を明らかにした。

ケント氏はキャリアの大半を、ウクライナその他地域での汚職との闘いに費やしてきた。

同氏の証言を知る関係筋によると、同氏は15年にバイデン氏の息子のブリスマへの関与が利益相反に当たる可能性を指摘し、バイデン氏のスタッフから猛反発されたとも述べている。

ケント氏の証言は13日に予定されている。