[ニューヨーク 8日 ロイター] - 共用オフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーが上場計画を撤回し、企業価値が急落したことは株主への信義則に違反するとして、少数株主の元社員が同社のニューマン前最高経営責任者(CEO)やソフトバンクグループ<9984.T>、同社の孫正義社長らを相手取り、訴えを起こした。

原告のウィーワーク元社員ナタリー・ソイカ氏は、ウィーカンパニーの取締役会が同氏のような少数株主に対する信義則に違反したと主張。今月4日にカリフォルニア州最高裁に集団訴訟を提起した。

ウィーカンパニーは9月末、新規株式公開(IPO)目論見書の取り消しを申請、上場計画を撤回した。

10月には大株主のソフトバンクが新たに50億ドルを支援するほか、30億ドルを上限としてウィーワーク株の公開買い付けを行うと表明。ウィーワークへのソフトバンクの出資比率は80%に高まった。

ソイカ氏は、ウィーカンパニー取締役会がソフトバンクに破格でのウィー株取得を認めるような救済案を受け入れたこと、退社するニューマン氏への17億ドルの支払いを認めたことを非難した。また、被告らの私的な取引も問題視した。

ウィーワークの広報担当者は8日、「訴えには法的根拠がない」と述べた。ソフトバンクと原告側の弁護士からのコメントは得られていない。

ソイカ氏はウィーワークに1年半務めている間に株主となり、自主退職した後、ウィーワークが近く株式を公開する意向で株価が大幅上昇すると聞いてストックオプションを行使したという。

株主訴訟は上場企業に対して行われることが多いが、専門家によると、今回の訴訟でウィーカンパニーが非公開企業である点に問題はなく、また被告らの私的取引については裁判でかなり重視される可能性がある。

原告側は、ウィーカンパニーがソフトバンクやニューマン氏との今後の取引を追認することを阻止し、少数株主からの株式買い戻しを制限することのほか、懲罰的損害賠償を求めている。

*内容を追加しました。