[ベルリン 8日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が発表した9月の貿易統計によると、輸出は前月比1.5%増となり、伸び率はエコノミスト予想の0.4%を上回ったほか、2017年11月以来の大きさとなった。リセッション(景気後退)懸念が広がる中で一定の安心感をもたらしそうだ。

9月の輸入は前月比1.3%増。エコノミスト予想は変わらずだった。貿易収支は192億ユーロの黒字で、黒字幅は上方改定された前月の187億ユーロから拡大。エコノミストの予想(181億ユーロ)も上回った。

INGのエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は「製造業は間違いなく不況に陥っているが、ドイツ経済は、リセッションの定義とされる2四半期連続のマイナス成長を土壇場で回避した可能性がある」と述べた。

ドイツ経済は世界経済の減速などを受けて第2・四半期に0.1%のマイナス成長となった。最近のデータでは第3・四半期に製造業がさえなかったことが示唆されており、2四半期連続のマイナス成長となる可能性が指摘されている。

ブルゼスキ氏は「9月の貿易統計は、第3・四半期の国内総生産(GDP)で純輸出がほとんど下押し要因にならなかったことを示唆する」と述べ、個人消費が若干増加し、建設は横ばいないしプラスとの見方を示した。

バーデン・ビュルテンベルク州立銀行のエコノミスト、Jens-Oliver Niklasch氏は「貿易の復活にみえるが、通年でみた場合、どちらかというと9月は異常値だ」と指摘。今年を通じて貿易はむしろ低迷していたとした上で、「貿易のリスクは小さくなったものの、まだ消え去ってはいない」と述べた。また、非ユーロ圏の欧州連合(EU)加盟国向けの1─9月の輸出が前年比0.4%減少したのは、ブレグジット(英国のEU離脱)が影響したとの見方を示した。

ドイツ商工会議所(DIHK)は10月に、来年の輸出が10年前の世界金融危機以降で初めて減少するとの見通しを示している。

*内容を追加しました。