YouTubeのレコメンドは”最強”だ

2019/11/9
今回の『The UPDATE』では「YouTubeはメディアの王様になるのか?」と題して、幻冬舎の箕輪厚介氏、放送作家の鈴木おさむ氏、コルク代表の佐渡島庸平氏、就活YouTuberのしゅんダイアリー氏、計4名をゲストに迎え議論を交わしました。
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番組の最後に、古坂大魔王が最も優れていた発言として選ぶ「King of Comment」は、奥井アナの「…深いです。」に決定。
CM直後、佐渡島氏の「作品自体が問い続ける行為です」という発言に対しての奥井アナのリアクションが、古坂氏曰く「テレビ的でよかった」ということで選ばれた。
最近だと「テレビ的」はネガティブな印象をもたれやすい言葉だが、そこにはもっとポジティブな要素がある、という意味が込められているという。
番組内では度々「地上波テレビ」と比較されることが多かった今テーマだったが、果たしてYouTubeは、映像メディアの王様となるのか。
それとも、新聞やラジオなどあらゆるメディアの王様となるのか。
放送後、佐渡島氏と奥井アナにお話を伺った。

YouTubeで世界が広がった

佐渡島氏は番組冒頭「YouTubeはメディアの王様になるのか?」という問いに「なる」と答え、その理由のひとつとしてレコメンド機能の強みを挙げた。
その点について、奥井アナは自身の人生を振り返っても納得できると言う。
奥井 私は中学一年生のとき、たまたまテレビで流れてきたバックストリート・ボーイズの曲が、YouTubeと深く触れるきっかけになったんです。
流れてくる音楽は格好いいんだけど、当時Shazamもないし、そもそもスマホ自体持っていない。
なんとか曲の特徴などを言葉にして人に聞いてもわからない。
そこで家のパソコンを使って、YouTubeを開いたんです。
洋楽、男性、人数、などキーワードを入れて検索してみたら、やっと彼らにたどり着いた。
そこで音楽を聴いていたら、レコメンド機能でどんどん知らない海外アーティストの曲が候補に出てくるんです。
それをきっかけに洋楽が好きになって、もっと聴きたいから英語の勉強を頑張ったし、自分で歌いたいと思うようになったから留学しようと思った。
この番組のアナウンサーをしていることも、もとを辿ればYouTubeのレコメンド機能で出てきて知ったからです。
面白そうな番組だなと思って応募したらオーディションに受かって、今ここにいます。
大げさではなく、YouTubeのレコメンド機能は自分の世界を広げるツールになっていると思います

YouTubeの心地よいレコメンド機能

レコメンド機能の強みについて、佐渡島氏はこう語る。
佐渡島 人は、新しいものじゃないと満足することはできません。
同じ動画だけを繰り返し見ることは普通できない。
でも、じゃあ新しいものを探すかというと、それもそれで面倒臭い。
そこにレコメンド機能がうまくマッチすると、人はそのプラットフォームで心地よく次から次へとコンテンツを楽しむことができるわけです。
ただ似たものを勧めるだけでは十分ではなく、今見ているものと新しいものが90%くらい被っていて、残りの10%くらいに新規性を感じられると、快適に感じられると思います。
その点でYouTubeのレコメンド機能はとてもうまく働いている。
たとえばSpotifyの方がAmazon Musicよりもずっとレコメンド機能が優れていることと似たような話です。
機能自体はほぼほぼ同じなのだけど、レコメンド機能が違うだけでユーザーの振る舞いがまるで変わってくる。
これは行動経済学で語られていることですが、知り合いの知り合いまでが自分に影響を及ぼす範囲だといいます。
Twitterやfacebookも、自分がフォローしている人のフォローしている人、くらいまでが出てくるアルゴリズムになっていますよね。
YouTubeもそういうアルゴリズムがよく働いているように感じます。

テレビ的な発想で見るのが間違い

メディアと一言でいっても様々な形態があるが、たとえば編集者として多くの漫画や書籍を手がけてきた佐渡島氏にとって、YouTubeはあらゆるメディアのトップに君臨するものだと感じられるのだろうか。
佐渡島 YouTubeが、というより、動画メディア自体が既にそうですよね。
動画の方が情報量が多いのは確かですから。
そもそも、多くの人は、抽象化されたコンテンツからその意味や自己理解を深めていく、ということができません。
幅広い層に伝達する手段としては、やはり動画は圧倒的だと思います。
一方で、奥井アナは最近動画メディアにあまり触れていないという。
奥井 私は最近、もっぱら音声メディアばかり聴いています。
radikoでラジオを聴くことが多いですね。動画の方が情報量が多くてたくさんのことを学べるというのは、確かにそうだと思うんですけど、動画はながら見ができないじゃないですか。
その点、音声コンテンツは何か作業しながらでも聴けるじゃないですか。
ストレスフリーなんですよね。
そういった音声メディアの強みについて、佐渡島氏はこう答える。
佐渡島 僕は、音声も動画メディアの中の一部だと思っています。
動画の中では音声が流れているわけで、それだけを聴く人もいれば、見て聴いて楽しむ人もいる。動画は音声を内包できるものです。
それに、YouTube自体が様々なものを内包できてしまうプラットフォームです。
YouTubeでラジオを聴くことができるように、音声コンテンツを置いておくこともできる。
そう考えると、YouTubeってもっと自由なメディアなんですよ。
みんなテレビの発想でYouTubeを見てしまっているだけで。

11月12日のテーマは「2020年の景気」

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<執筆:富田七、編集:佐々木健吾、デザイン:斉藤我空>