[北京 8日 ロイター] - 中国税関総署が発表した10月の貿易統計によると、輸出入ともに予想よりも小幅な減少にとどまった。中国経済にとって、ひとまず安心材料となりそうだ。

輸出は前年比0.9%減少し3カ月連続のマイナスとなった。市場予想は3.9%減、9月は3.2%減だった。

アナリストは、9月1日の発動分も含む米国の対中関税と世界の需要低迷が輸出を圧迫していると指摘する。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、マーティン・ラスムセン氏は「米中通商協議の『第1段階』の合意が成立したとしても、輸出業者が直面する主な逆風の緩和につながる可能性は低く、今後数カ月の輸出は引き続き弱く推移する見通しだ」と述べた。

税関当局のデータを基にしたロイターの算出によると、10月の対米輸出は16.2%減となり、減少率は前月の21.9%より小幅となった。

ANZの中国担当シニアエコノミスト、ベティー・ワン氏は、米政府が一部の中国ハイテク企業を貿易ブラックリストに加えたことを受け、中国企業がハイテク製品の輸出を急いだとし、これが輸出増加につながった可能性を示す事例があると指摘した。

今月中に部分的な合意が成立すれば、米国が12月15日に予定する約1560億ドル相当の中国製品に対する関税の撤回が盛り込まれると予想されている。これらの製品には携帯電話、ノートパソコン、玩具が含まれる。

10月の輸入は前年比6.4%減で、6カ月連続のマイナス。市場予想は8.9%減、9月は8.5%減だった。

輸入のマイナス幅はより控えめとなったものの、鉄鉱石と銅の輸入は減少し、内需は低迷を続けているとみられる。

輸入は最近発表された中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)や生産者物価指数(PPI)と同様に弱い内容で、内需がなお不調で、景気刺激策の効果がこれまでのところ限定的であることを示している。[nL3N27G1WO][nL3N2700QF]

貿易収支は428億1000万ドルの黒字。黒字幅は9月の396億5000万ドルから拡大し、市場予想の408億3000万ドルを上回った。

税関総署の統計に基づきロイターが算出した対米貿易黒字は264億2000万ドルで、9月の258億8000万ドルから拡大した。

米中の通商協議では、「第1段階」の合意の一環として、双方が貿易戦争の過程で発動した追加関税を段階的に撤廃する方針で一致したことが明らかになった。[nL3N27N27M]

ただ、正式合意の寸前で協議が決裂する可能性はまだあると専門家は指摘する。また、完全合意に向けた道のりは依然として非常に不透明で、部分合意は中国に対する圧力を一部緩和するだけとの見方も出ている。

オックスフォード・エコノミクスのアジア経済担当責任者ルイス・クイジス氏は「慎重姿勢を続ける。現在導入されている関税の大半が近く撤廃される可能性は低いほか、他の種類の規制も導入される予定で、デカップリング(分断)と緊張の高まりが示唆される」と指摘した。

クイジス氏らは輸入量の改善に言及。地方政府がインフラ支出を拡大する中、輸入量は徐々に回復を続ける可能性がある。

*内容を追加しました。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)