スパイスカレーの伝道師が、「さかなクン」に憧れる理由 

2019/11/19
ブームに火がつき始めたスパイスカレー。
NTTタウンページデータベースによれば、インド料理店の登録件数は2008年の569店舗から2017年には2162店舗へと10年で4倍になった。
読者の中にも、インド料理店やスパイスカレーを扱うお店が増えた実感を持つ人は多いのではないだろうか。
こうしたスパイスカレーの領域では、ある料理研究家が時間のない主婦や単身者でも簡単に作れるスパイスカレーを考案し、人々をカレー作りに魅了させている。
その名も、印度カリー子。弱冠23歳ながら、著書を既に4冊上梓している売れっ子だ。
難しいイメージの強かったスパイスカレーも、彼女のレシピに沿って作れば10〜30分と非常に短い時間で出来上がってしまうのだ。
さらに、「自分で作るスパイスカレーの魅力を広めたい」という思いからスパイスセットの製造販売も手掛ける、若手起業家の顔も持つ。
そのスパイスカレーに懸ける情熱の原動力はどこから来ているのか。NewsPicksが直撃した。
印度カリー子(いんど・かりーこ)/香林館 社長
1996年生まれ、宮城県育ち。「スパイスカレーをおうちでもっと手軽に」をモットーに、オリジナルスパイスセットの開発・販売をする他、商品開発マーケティング、コンサルティング、料理教室運営など幅広く活動。現在は東京大学大学院で食品科学の観点から香辛料の研究中。著書に『ひとりぶんのスパイスカレー』(2019年、山と渓谷社)など。

「スパイスカレー」が広まる理由

──印度カリー子さんが、スパイスカレーを研究し始めた3年前は、まだブームと呼べるほど普及はしていませんでした。なぜ、ビジネスチャンスがあると思ったのですか。
実はカレーって、広まりうるポテンシャルをすごく持っている料理なんですよ。おいしいのはもちろんのこと、味以外の要素で、3つのポイントがあると思います。
1つ目が、レシピの構造の単純さ。従来のレシピは複雑でしたが、工程を分解して整理すると、「グレイビー作り」「具材入れ」「ベース入れ」の3ステップで、スパイスカレーは簡単に作ることができます。
そもそも作業自体は、基本的には材料を切って炒めるだけです。下茹でやアク抜き、臭み消しなどの難しい作業は必要ありません。
1つのフライパンに材料を足していけば、出来上がっていきます。
(出所:印度氏の著書を元にNewsPicksで作成)
──確かに、3段階のシンプルな工程だと思うと、気構えずに取り掛かれそうです。