(ブルームバーグ): 米アクティビストファンドのRMBキャピタルは6日、バンダイナムコホールディングスがアニメ版権管理会社創通に対して実施中の株式公開買い付け(TOB)について、算定価格が不当に低いことなどを理由に反対すると発表した。同ファンドは5%未満の創通株式を保有している。

バンナムHは先月9日、アニメ「機動戦士ガンダム」事業強化のため、創通に対して1株3100円でTOBを実施し完全子会社化すると発表。創通はガンダムの版権の一部を保有しており、以前からバンナムHと共同で版権事業を展開していた。バンナムHは現在、創通の22.79%株主で、完全子会社化で事業のスピードアップや海外展開の拡大を図るとしている。

RMBは、TOB価格から試算するとバンナムHはガンダムの知的財産権(IP)を約400億円と評価していることになり、RMBの試算による「ハローキティ」の約1700億円、「ドラゴンボール・ワンピース」の約1900億円と比べて著しく低い水準だと指摘。創通株の適正価格は少なくとも1株4600円であり、TOB価格は不当に低いと主張する。

さらに、バンナムHが発表資料で明記している通り、TOB成立後に創通傘下の就職支援会社を切り離し、創通筆頭株主の創業者らに譲渡することを検討している事実が、均一の公開買い付け条件を求める金融商品取引法に違反する可能性があるとの懸念を示した。創通創業者とその資産管理会社は、持ち分のすべて(計49.2%)についてTOBに応募することが決まっている。

バンナムH広報担当の今福ゆり子氏はRMBの発表について「内容を含めて詳細を確認中」とコメントした。創通も内容を含めて詳細を確認中としている。

TOBは25日が期限で、価格は発表前3カ月の平均株価より約6割上乗せしている。創通の株価は発表直後からTOB価格にサヤ寄せする動きとなり、5日終値は3095円だった。RMBの発表を受けた6日の株価は一時前日比7.4%高の3325円まで上昇し、同3.1%高の3190円で引けた。

(創通のコメントを追加して記事を更新します)

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