パナ、中国に高齢者タウン 来春、巨大シニア市場参入
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5年ほど前のことですが、
北京郊外の高齢者タウン、というか巨大老人ホームタウン、に見学に行きました。
日本の老人ホームとは全然景色が違います。国有地払い下げの広大な土地。そこに整然と建つたくさんの低層住居。ケアスタッフを支えるITシステム。
驚きました。
私の母もそうでしたが、老人は自立できる状態から、家事ができなくなる、お風呂などが一人では無理、歩くのがしんどい、最後には寝たきり、というように遷移していきます。
その状況に従った施設を移動していくわけですが、日本では多くの場合その状況に合わせて新しい施設を探すなど、家族にとってはとてもしんどい対応をしなければなりません。
その北京の施設は広大な土地にそのケア度に従ったブロックが形成されていて、状況に合わせ移っていけばよいのです。更に「とはいえ重度な人が増えますよね」との私の懸念に「まだまだ土地が余っていますから、そこに新設していきます」と。そして、「ケアスタッフが足りなくなるでしょう?」との疑問にも「中西部の若い人たちの働き手が沢山いるので心配いらないと」
もちろん、とはいえ限度はあるでしょうが、そのような施設が沢山作れるならば、日本の状況に比しはるかに受け皿を作りやすいし、合理的にオペレーションできると思う。
その分マーケットは巨大ですね。
ちなみに、私が訪問した施設はかなり高額です。それでも入居希望者は何倍にもなる抽選で選ばれるのです。その後同様の施設がどのように拡大していったかは私は知りません。恐らくたくさんできたのでしょうね。この記事で出てくる「高齢者タウン」ですが、ちょっと日本の大規模老人ホームとはイメージが異なっていて、いわゆるCCRC(Continuing Care Retirement Community)に近いものと考えています。
この中国版CCRC、中国では不動産デベロッパーが行政の補助金やファンドから資金を得て、たくさん建てているのですが、正直、実態は千差万別で、うまく稼働しているところはほんの一握りでしょう。
不動産デベロッパーが、「シニア市場の住まい」に腰を据えて長期的に取り組むのであれば、それなりにうまくいく。でも、彼らが高齢者タウンを建てる狙いが行政からの補助金獲得や地域の大規模開発権益による見返り、もしくは開発してどこかに転売することが目的であれば、どこかの養老(介護)事業者に丸投げします。
今は圧倒的に後者が多いので、うまくいかずに空き家になっているケースも多いようです。パナソニックといえど単独での進出は許可されないので、どこかの中国資本との合弁で進出するはず。
とはいえ中国の中小都市でCCRCをやること自体は、悪い選択肢だとは思わないので、うまく中国資本と行政をグリップして進めるしかない。良いモデルをぜひ作ってください。中国でも高齢化が着々と進んでいるので、高齢者向けマーケットは今後も拡大していくと思われます。
以前、ある企業の方に対し、超富裕層向け最高級老人ホームの可能性についてお話したことがあります。
中国でも親を老人ホームに入居されることは、「親の面倒を見るのを放棄した親不孝者」とみられる傾向にあります。
それを逆手にとって、「あのホームに親を入れるなんて、なんと親孝行なんだ」と思われるようなものが作れれば、超富裕層には必ず需要はあると思います。
お金はもっているけど、仕事が忙しく、親の面倒まで見れないという超富裕層がかなりいるのは間違いありませんし、今後さらに増えていくでしょう。
その後チェックしていないので、このようなホームの建設が進んでいるのかどうかは不明ですが、将来的には大きな可能性があると考えます。