IS、バグダディ容疑者の死確認 新指導者決定と声明
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新しいカリフの名前は「アブー・イブラーヒーム・アル=ハーシミー・アル=クライシ」と発表されました。本名ではありません。しかし、「クライシュ族のハーシム家」に属しているという情報が含まれています。クライシュ族は、6世紀のメッカで預言者ムハンマドが生まれた部族で、その中にハーシム家がありますが、この家門も預言者ムハンマドと同じものです。ヨルダンの王家などと同じで、預言者ムハンマドの子孫にあたるということを意味します。この血統の男性であることが、カリフ(全世界のムスリムの政治的首長)に選ばれるうえでは極めて望ましく、必須であるという意見もあります。真偽のほどはともかく、この血統を強調することは、支持を集めるうえで意味があります。
「新カリフ」はおそらくイラク人で、発表の中では、「前カリフ(バグダーディー)に後継指名されていた」とも述べられています。該当しそうな幹部はかなり絞られます(サッダーム・フセイン政権の軍人であったアブドゥッラー・カルダーシュなど)。
この発表は、インターネット上で行われましたが、即座に十数か国語に翻訳されて、新カリフへの忠誠の声明と共に、各支部のウェブサイトで表示されました。少なくともインターネット上では、「イスラーム国」の意志決定機構と指揮命令系統、宣伝広報体制は維持されています。
この発表では、バグダーディーの翌日に米軍に殺害された、宣伝広報の担当者の後任も発表されました。発表全体で話しているのは、この新担当者です。名前は「アブー・ハムザ・アル=クライシ」と名乗りましたが、やはり本名ではありませんが、クライシュ族の出であるということが示されています。IS勢力はいよいよ領地と人民による主権概念が失われるとともに、分散型グローバル武装勢力へと転回しました。IS戦闘員はシリアやイラクへの侵入が困難になるにつれて、新たにインドネシアやフィリピンなどの東南アジアをグローバルジハードの戦線としようとするかも知れません。