[大阪市 31日 ロイター] - 任天堂<7974.T>が31日発表した4─9月連結営業利益は53.4%増の942億2200万円だった。家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のハードとソフトが貢献し、上期として2009年4―9月以来、10年ぶりの高水準となった。

会見した同社の古川俊太郎社長は「今年は自社ソフトの投入のタイミングが夏から切れ目なくできた」と、堅調な業績の背景を説明した。

従来型のスイッチの販売台数は前年同期に比べ1%減の498万台と伸び悩んだが、9月に発売した「ニンテンドースイッチライト」が195万台で、合わせれば36%増となり「販売は順調に推移している」(古川社長)という。スイッチ向けゲームソフトの販売本数は38%増の5849万本だった。

携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売台数は63%減、ソフト販売は58%減だったが、3DSについて古川社長は、携帯しやすく価格が安いためエントリー層向けだとし、「今後も販売は継続していく」と述べた。

売上高は前年同期比14.2%増の4439億6700円、為替差損205億円が重しとなって当期利益は4.0%減の620億1800万円だった。

一方、2020年3月期の営業利益予想は前年比4.1%増の2600億円で据え置いた。リフィニティブがまとめたアナリスト20人による営業利益予想の平均3093億円を下回っている。

スイッチのハードやソフトの販売見通しも据え置いた。古川社長は「第2・四半期時点では昨年より伸びているが、年間販売について、この時点で上方修正すると決めるのは時期尚早」と述べた。

もっとも、11月にはスイッチ向けにポケットモンスターシリーズの完全新作を発売すると説明し、「ポケモンならではの魅力が詰まっている上、新たな要素も付け加えて、販売を大変期待している」と述べた。

売上高予想は前年比4.1%増の1兆2500億円、純利益予想は同7.2%減の1800億円で据え置いた。

米中貿易摩擦の影響については、追加関税の発動が12月まで延期されたことを踏まえ、「今年の年末商戦に大きな影響はない」との見方を示した。同社はスイッチの生産の一部を中国からベトナムへと今夏に移管した。中国での生産と採算面で大きな差はないものの、すべての生産をベトナムで代替できるわけでないという。

「我々にとって最も大きな市場である米国市場の需要動向次第では、全く関税の影響がないと言い切れるわけでもないので、引き続き動向を注視したい」とした。

スイッチを中国で販売するため騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>と共同で進めている取り組みは「詳細についてまだ話せることはない」と述べるにとどめた。ハードやソフトの申請をしており、一部で認可を得たものの、全て準備が整っているわけではないとした。

*内容を追加しました。

(平田紀之 編集:山川薫)