[香港 28日 ロイター] - 香港の陳茂波(ポール・チャン)財政官は27日、約5カ月にわたる反政府デモの影響で香港経済が第3・四半期にリセッション(景気後退)に陥ったと指摘した。2019年の成長率がプラスになる可能性は低いとの見方も示した。

陳氏はブログへの投稿で、一連のデモによる「経済への打撃は広範囲に及ぶ」とし、31日発表の第3・四半期の域内総生産(GDP)速報値は景気後退の定義である2四半期連続のマイナス成長になると明らかにした。

また、デモ発生前に政府が予想していた年間0─1%の成長を達成することは「極めて困難」とした。

6月に始まったデモは21週に及び、デモ隊は中国系ビジネスや地下鉄運営の香港鉄路(MTR)<0066.HK>を標的に妨害を繰り返している。MTRは過去数週間、通常より早く運行を終了、高級ショッピングモールから個人経営の店まで小売店が数日にわたって休業を強いられる事態も生じている。

また、10月の香港訪問客は50%近く減少し、観光客の落ち込みが加速。陳氏はこうした状況を「非常事態」と表現した。

香港当局は中小企業支援策を発表しているが、陳氏はこれらの措置について、経済への「圧力をわずかに軽減する」に過ぎないとの見方を示した。

その上で「市民が普通の生活を取り戻し、商工業が通常の業務を行えるようにすべきだ」と訴え、「理性的な対話の余地を広げる必要がある」と主張した。