[ロンドン 22日 ロイター] - 英議会下院は22日、ジョンソン首相が欧州連合(EU)とまとめた離脱協定案の関連法案を迅速に審議する議事日程の計画を否決した。これでブレグジット(英のEU離脱)が10月末よりも先に延びるのはほぼ確実で、離脱が実現するかどうかも不透明になってきた。

ジョンソン氏は、離脱協定の実行に不可欠な関連法案を通常の数週間、数カ月単位ではなく、数日で審議するよう提案し、下院は反対322、賛成308で退けた。

こうなるとジョンソン氏には、ブレグジットを期限通り実行する明確な手段は存在しない。次にどのような事態が訪れるのか。

<否決の主な影響>

関連法案の迅速審議否決で、離脱協定案自体が無効になるわけではないが、同案が10月31日までに可決される公算は極めて乏しい。

19日には法律に基づいてジョンソン氏がEUに離脱期限の3カ月延期を申請する書簡を送ったものの、同氏は書簡に署名しておらず、延期を望まないと明言している。

ジョンソン氏は、EUが離脱延期申請に関する判断を下すまで、関連法案の審議をストップする意向も示した。

議会が新たな審議日程を定めた動議に合意すれば、審議が再開する可能性もある。

審議が再び始まっても、離脱条件の変更につながるような協定案修正の試みを政府は阻止しなければならないだろう。

議会は既に、2回目の国民投票を実施するという条件を加えたり、政府が長期にわたってEUの関税同盟にとどまることを求めるのを義務付ける、などを提案している。

<対EU関係>

ジョンソン氏は「EUは目下、英議会の離脱延期要請にどう答えるか決断しなければならない」と語った。

「私はEU諸国に彼らの意思を聞くつもりだ。彼らが決めるまで、法案(の審議)は保留する。われわれは離脱を遅らせるべきでないという政府の方針に変わりはない点ははっきりさせておく。政府は責任あるコースだけを進み、合意なき離脱への備えを加速させる必要がある」という。

ジョンソン氏は以前、議会に対してEUが離脱期限を来年1月31日に延期するのを認めれば、離脱協定案を放棄して総選挙の前倒しの合意取り付けを目指すと警告している。

ただ、EUがより短期の延期を承認した場合は、協定案は取り下げないと表明。これにより、EUが短期間の離脱延期を容認し、ジョンソン氏がもう少し長めの新たな審議日程を提案して英議会がより多くの審議時間を確保できる可能性がまだ残っている。

この展開は、「絶対に10月末に離脱する。できなければ死んだ方がましだ」というジョンソン氏の約束には反するが、次の選挙でブレグジット自体を達成したと言える余地はまだあるだろう。

EUが離脱延期を一切認めないと、10月末に合意なき離脱が実現してしまう。