(ブルームバーグ): 電気自動車(EV)メーカー、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は23日、7-9月(第3四半期)の黒字転換に加え、新工場と新モデルの計画が予定よりも早く進んでいると発表し、大方の予想を覆した。また同社の経費削減の取り組みも好感され、23日の時間外取引で株価は急伸した。

7-9月期の1株損益は1.86ドルの黒字。アナリスト予想は0.24ドルの赤字だった。マスク氏はまた、中国の新工場が既に試験生産を開始したことや、クロスオーバー車「モデルY」の来年の生産・納車時期が数カ月早まる見通しを明らかにした。さらに長く低迷していたエネルギー事業に明るい兆しが見えているとも述べた。

ただ、今回の決算は黒字転換したものの、まだ問題が残っている。売上高は63億ドル(約6850億円)と、アナリスト予想に届かなかった上に前年同期(68億ドル)を下回った。前年同期比マイナスは2012年以来。また同社はこれまでも黒字になることはあったが、それを維持できなかった。

ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイブス氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「利幅や利益率は強気派の重要な根拠となるだろう」とした上で、「これが維持できれば、今後の市場の見方を一変させ得る可能性がある」と指摘した。

株価は時間外取引で一時21%高の308.5ドルを付けた。今年に入って23日通常取引終値までに23%下げていた。債券価格システムのトレースによれば、表面利率5.3%のテスラ社債は一時、2セント値上がりし額面1ドル当たり93.75セントと、18年3月以来の高値となった。

テスラによれば、同社が今年、上海で建設を開始した工場で「モデル3」の試験生産が始まった。中国で同モデルを生産できれば関税がかからないため、価格を引き下げられる。ベンチャーキャピタル会社ループ・ベンチャーズのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は、同工場は「全く新たな市場を開拓する」と述べた。

部品の多くがモデル3と共通しているモデルYの生産・納入は、当初予定されていた来年の秋ではなく夏に始まるとされた。マスク氏は、モデルYの販売台数は「モデルS」、「モデルX」、モデル3を合わせた台数を上回り得ると述べた。さらに決算に関するアナリストとの電話会議で、新型EVピックアップトラックは来月に公表される可能性があるとし、「これまでで最高の製品」だと語った。

テスラとパナソニックは米国で大規模電池工場「ギガファクトリー」を共同運営している。

原題:Tesla Surges as Musk’s Cost Cuts Deliver a Surprise Profit (1)、Tesla Says It’s Grown to Point of ‘Self-Funding’ Tesla Packs Profit Report With Positivity as Musk Breaks Mold (抜粋)

(テスラの発表内容などを追加して更新します)

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