【ホリエモン×ラグビー】安易なプロ化に待った。野球チームが買収?

2019/10/25
 NewsPicksで注目を集めたニュースを堀江貴文さんが深掘りする「HORIE ONE」。今回は9月20日に開幕し、熱戦に沸く「ラグビーワールドカップ」がテーマ。この日は、ラグビー観戦のパブリックビューイング会場としても盛況の「丸ビル マルキューブ」を舞台に、初めての公開収録でトークが進んだ。

 特大の液晶パネルを背に、“ゆうこす”こと菅本裕子さん、NewsPicksの佐々木紀彦、さらにDeNAベイスターズ初代代表取締役社長を務め、日本ラグビーフットボール協会特任理事も歴任した池田純さんが登場。ニュースの深堀りに加え、日本ラグビーの未来をテーマにディスカッションした。

Airbnbは、まだまだ伸びる

 9月19日、Airbnbが2020年にIPOを実施する意向を示した。現在でこそ「民泊」という名称と共に日本でも知られるようになった同社は、この業界の草分け的存在だ。
堀江 彼らのビジネスは素晴らしいと思います。不動産を所有せず、仲介に徹することで自社ビジネスに資金もかからない。
 宿泊施設として貸し出す「ホスト」も専門業者や副業として取り組む人々が増えているし、宿泊時のリスクを担わない点もビジネスとして強いです。もっと伸びる可能性があると思います。

あなどれない!N国党・立花党首の戦略

 また、この日の堀江は、もう一つ賛辞を送った。「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に対してだ。YouTubeの動画番組で共演した際に、堀江は立花に「真面目で頭のいい人。選挙ハックの才能はすごい」とNewsPicksでコメントを付けた。
堀江 非常に理論的に選挙を進めています。小選挙区で自民党、野党、N国党という図式を作り、全体の2%の投票が得られれば、比例代表で当選できる。近畿、東京、南関東、九州で、1議席ずつはありえると見ているようです。
 また、立花のYouTubeの活用にも触れた。立花自らが動画で「広告収入が月間1200万円ある」と明かした背景には、地道なA/Bテストが実施されていたという。
堀江 立花さんがマツコ・デラックスを批判した動画が注目を集めていたけど、あれは複数の芸能人や文化人を批判する動画を作成して、最も数字の取れた人を「標的」にしたんですよ。
 それらのクレバーな活動を含め、堀江は「(立花さんの振る舞いは)落差マーケティングのひとつ」と評しながらも、その動向に期待を寄せていた。

希少性増す「オールド営業」の強み

 9月9日に出た「営業マンが消滅した理由、15年間で130万人減少」というニュースで、堀江は映画『宮本から君へ』を引き合いに出して語った。文具メーカーの営業マンが主人公である本作は、原作の発表が1990年だったこともあり、「ひと昔の営業マン」が描かれている。
堀江 むしろ、そういった“激しい”営業マンが今は減って、少数精鋭で活動していますね。たとえば、メルカリで不用品に値がつくことがわかると、電話攻勢で高齢者からまとめて不用品整理を請け負ったりしています。
 堀江は近々で光通信の創業者である重田康光に面会したことにも触れた。
堀江 重田さんはTHE・営業マン。2000年頃のITバブルの時期には、光通信は叩かれる対象だったけれど復活しています。インターネットモデムや衛星放送などを売ってきたような人たちが、今や不用品買取やウォーターサーバーの販売で躍進しているんですよね。
 僕も本気になれることがあると営業します。キーマンと会って、親交を深めて、最後の最後に「しょうがねぇな」と支援や協力を取り付けることもあります。
 AIによる代替や最適化で減少する影で、実はオールドスクールな営業が見直されるかもしれないですね。

ラグビーのプロ化に「待った!」

ここから池田純が参戦。話が「日本ラグビー」に移ると、池田は繰り返し「プロ化の再考」を主張した。2021年に開始される予定のプロリーグ構想を受けてのことだ。
池田 地域密着をうたっていますが、企業名を冠したチームをいきなりプロ化して、誰が応援するんでしょうか。まずはファンを育てるところから。それにラグビーは試合数もサッカーより少なく、興行としても難点が多いです。
堀江 僕も同じ印象です。ラグビーは1チーム15人制で人数も必要ですし。日本でテニスや卓球、バドミントンのような少人数スポーツが強くなっているのは、少子化とも結びついているからだと思います。
ラグビーの別側面として「経験者に出世している人が多いのはなぜ?」と堀江は投げかける。
池田 かつてはOBのつながりなども含め、大学ラグビーの経験者は大企業に入るチャンスが多かったのも一つでしょう。それに、ラグビーは自律的に動くスポーツなので、自分で考える能力が高く、クレバーな人材が多いですね。
堀江 各選手の能力の高さや、サッカーや野球選手と比べても“異次元の質”と感じられる筋肉は確かに強みです。だからこそ、今日まで企業スポーツとして存続してきたのだろうし、ここに何かの(未来につながる)キーワードがあると思います。

ラグビーを、野球チームが買収する?

 また、ラグビーの「政治力」の強さも話題に上った。今回、日本でのワールドカップ開催も、人気や実力を鑑みると、その政治的側面は否定できないだろうという見方だ。先ごろ、日本ラグビー協会の名誉会長を退任した森喜朗の影響力も色濃くある。「政治力があるからこそ、今日までプロ化せずに資金を企業に頼れていたのではないか」という仮説も浮かんだ
池田 まずはトップ4チームのみで、改装する秩父宮ラグビー場で毎晩のように試合を行い、「青山でラグビーを観る」という楽しみから根付かせるのが大事だと思います。
堀江 野球とコラボレーションしたら? 政治力を活かして、どこかのプロ野球チームがラグビーチームを買収して統合、という流れがあったら面白いですね。チーム買収は政治力がすべてですから。
トークの最後、ラグビーワールドカップが一過性のブームで弾けないためにも、池田は「自分たちで意思決定し、経営が回る、というプロ化の意味を再確認すべき。言葉だけが先行しても意味がない」と釘を差した。
明確な特効薬は見えないが、堀江の大胆なアイデアが実現すれば、スポーツビジネスとしての広まりは出る。経営者の声に、いかに耳を傾けられるか。日本ラグビーの明暗は、そこに表れるのかもしれない。
 三菱地所が手掛ける東京・丸の内エリアでは、丸ビルにてラグビーワールドカップ全試合のパブリックビューイングを開催し、「#ボーダーうぇい」を合言葉に丸の内エリアを「ボーダー」に染め、ラグビーの新しい楽しみ方を発信中です。 ビール片手に日本代表戦を大画面で観戦できる他、大手町・丸の内・有楽町の飲食店44店舗と連動し「ボーダーグルメ」キャンペーンを実施中。丸の内から、ラグビーワールドカップ2019日本大会がどんどん盛り上がっております!
(構成:長谷川賢人、写真:高澤梨緒、編集:株式会社ツドイ)