[ロンドン 22日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)によると、英国の今年度(2019年4月─20年3月)上半期の公的部門財政赤字は前年同期を20%強上回った。10年にわたる赤字縮小基調が止まった。

9月の公的部門財政収支(国有銀行を除く)は、94億ポンドの赤字。赤字額は前年同月(88億ポンド)から増えたものの、ロイターがまとめたエコノミストの平均予想(97億ポンド)は下回った。

4─9月は403億ポンドの赤字で、前年同期比21.6%増加した。

すでに前月から不安視されていた、今年度の財政赤字を国内総生産(GDP)比2%未満に抑えるという目標達成が一段と不透明になった。

ジョンソン首相は、欧州連合(EU)と前週離脱協定案で合意し、10月31日のEU離脱を目指す。しかし、議会は19日に関連法を承認するまで協定案の採決を保留すると議決し、離脱再延期の可能性が高まっている。

シンクタンク、チェンジング・ヨーロッパのアナリストは、ジョンソン首相が離脱を強行した場合、EUとの貿易関係弱体化が経済に悪影響を与え、年間の税収が最大490億ポンド減少すると試算している。

ジャビド財務相は9月に、これまでの緊縮路線を転換すると表明し、歳出拡大方針を示した。ジャビド氏は11月6日に予算演説を行う。

ONSによると、4─9月の公共サービス向け支出は前年比5.4%増加。これに対し税収は2.8%増で、法人税収は1.1%減と上期としては2013年以来最大の落ち込みを記録した。

ONSは前月、前年度(18年4月─19年3月)の財政赤字をGDP比1.1%から1.9%に修正した。それでも赤字比率は2001/02年度以降で最低で、金融危機が深刻化した2009/10年度の10.2%を大きく下回る。

ただ、大半の先進国と同様、債務は危機前より多い。

9月の公的部門の純債務残高(国有銀行を除く)はGDP比80.3%。イングランド銀行(英中銀)の貸し出し制度による一時的影響を除外しても72.2%となった。

金融危機前の比率は40%を下回っていた。