【非常事態】過激化するカリフォルニアの「ホームレス排斥」

2019/10/23

リベラル都市に「異変」

彼らには「社会のパラサイト」や「役立たず」といった心ない言葉がぶつけられる。言葉だけではなく、石やトウガラシスプレーまで。彼らを締め出すために、歩道の脇にはフェンスや鉢植えなどによるバリアーが築かれている。市民は自警団を組織し、街を見回っては彼らを追い出しにかかっている。
カリフォルニア州は、寛容さとリベラルな価値観で知られてきた。しかし、州全体でホームレスが記録的に増加した現在、彼らに対するすさまじい反発が巻き起こっている。
同州オークランドで不動産開発を手がけるジーン・ゴレリックは、ホームレス批判の急先鋒だ。先ごろゴレリックは、次のような提案を行って物議を醸した。アルコール類をたっぷり積み込んだパーティー専用バスに大勢のホームレスを誘い込んで、そのままメキシコへ送り込んでしまえ──と。
「シリアの難民キャンプだって、ここよりは清潔でしょうよ」
オークランドのファストフード店で、窓からホームレスの寝床を見下ろしながら、ゴレリックはそう語った。
ジーン・ゴレリック(Jim Wilson/The New York Times)

「我慢の限界」に達する市民たち