【核心】GAFAとは違う。なぜ「カナダのAI」が頼られるのか

2019/10/25
カナダは、世界の「AIハブ」である──
特集を通じて、いかにカナダが誰も見向きもしなかった30年以上も前から、今のAI技術に取り組み、近年のAI爆発後も、グーグルやアップル、フェイスブックなど、世界の巨大テック企業に人材を送り込んでいるか、を詳細に伝えてきた。
しかし、この圧倒的なすごみも、日本ではいまいちピンとこない。
それは、カナダ発のAI技術や人材も、結局花開いているのが、GAFAを始めとするアメリカ西海岸のテック企業であり、誰もが知るようなカナダ発の巨大スタートアップが登場していないことが一番の理由だろう。
だが、カナダのそんな「引き抜き先」としての歴史も、過去のモノになりそうだ。
そもそもカナダ企業には、過去にはブラックベリーでiPhone前夜のスマホ市場を席巻し、今もECプラットフォーム「Shopify」が世界的に躍進し、時価総額も4兆円規模にまで成長してきた歴史がある。

AI界の「最高権威」が設立

そして、次なる次世代の筆頭株と言われているのが、「Element AI」だ。
2016年に創業したAI企業だが、何よりも、その強みはAI界の最高権威であるヨシュア・ベンジオが立ち上げたことにある。わずか3年でマイクロソフトにインテル、エヌビディアが出資を決め、評価額は6〜7億ドル(700億円前後)に上るほどだ。
カナダには「Narwhal」という海の一角獣がおり、ユニコーンリストならぬ「Narwhal List」が発表されているが、エレメントAIはこのリストで筆頭に名を連ねる。
ミッションに「AIの最先端を巨大テック企業が独占するのではなく、末端にも届けていく」ことを掲げているエレメントAI。GAFAにはない、このカナダ企業だけの「真の凄み」とは何なのか。