【鳩山玲人】「コンテンツ」と「ブランド」こそが事業戦略のカギとなる
2019/10/19
世界中で、アマゾンやネットフリックス、アップルを始めとした多くのプラットフォーマーが、極めて強い交渉力をテコにさまざまな秩序への「挑戦」を続けている。出版業界や音楽業界、映画業界では特に大きな地殻変動が起きている。
その一方、ディズニーは2006年のアニメーション製作会社・ピクサーを皮切りに、2009年にアメコミのマーベル、2012年に『スター・ウォーズ』シリーズで有名なルーカスフィルム、2019年3月には21世紀フォックスを買収した。
激変するこの世界のコンテンツ業界をどう読み解けばいいのかー。
元サンリオ常務の鳩山玲人氏に、コンテンツビジネスの要点について聞いた。
NewsPicksアカデミアでは、10月26日(土)、27日(日)に鳩山玲人氏による「最先端のコンテンツ&ブランド戦略」を開催します。
コンテンツを広く捉える
──いま、ビジネスパーソンがコンテンツ(ビジネス)を学ぶことはどのような意義があるのでしょうか。
鳩山 「コンテンツ」というと、アニメや映画のように狭い世界に囚われがちですが、実はいまFANGA(Facebook, Amazon, Netflix,Google,Apple)と言われるようなメガプラットフォーマーがコンテンツにとても力を入れています。
なぜなら、コンテンツこそが事業にとって競争優位となるからです。
また、コンテンツは一般的なイメージよりずっと広く捉えることができます。
例えばeコマースも一つのコンテンツですし、トレンドの作り方やブランディングもコンテンツとも言えるでしょう。
つまり「コンテンツ」というものは非常に大きなテーマと言えるのです。
──鳩山さんはサンリオで色々改革を進められたと思うのですが「コンテンツが事業を左右した」という経験は、例えばどのようなことがありましたか。
※鳩山氏は34歳のときに三菱商事からサンリオに入社。海外でのライセンス事業に注力した結果、欧米での収入が大きく伸びたことで(営業利益の90パーセント以上は海外)、会社の営業利益は5年で約3倍、時価総額は約7倍となった。
サンリオの有名なキャラクターにキティちゃんことハローキティがいます。
もちろん、ハローキティはキャラクターとして「コンテンツ」といえますが、私がやったことは、ハローキティと様々なブランドとのコラボです。
つまり、キティちゃんというコンテンツを「ブランド」として解釈した。
キティちゃんといえば子ども向けというイメージが強いですが、海外ではそのイメージとは全く異なる層に刺さっていました。
例えば当時、セレブがキティちゃんについてSNSで発信することで、ファンがどんどん増えるというソーシャル時代ならではの拡散をしており、そこにチャンスを感じたのです。
具体的には、KISSやエルビス・プレスリーやザ・シンプソンズのようなハローキティが持つ世界観とは全く異なる相手や、BAPE、UNDERCOVERのような裏原のブランドともコラボレーションを進めました。
──サンリオのような伝統的なキャラクター会社は、どうしても「作って売る」という発想に固まりがちだと思うのですが、そのように発想されたきっかけはどこにあったのでしょうか。
コンテンツ業界以外での経験からだと思います。
私は三菱商事を経て、ハーバードでMBAを取得しました。そして、学んだことをコンテンツやエンターテインメント業界に取り入れたいと思い、サンリオに入社しました。
アメリカでは映画産業のようなコンテンツ業界でも、MBAのような学位を持っている人がとても多く、博士号も持たれている方もよくいます。
サンリオでこのようなアプローチをすることは、自分自身にとって大きなチャレンジだったのですが、サンリオではコンテンツをクリエイター目線ではなくビジネスとして解釈し、戦略を作り実行することができました。
そして一定の結果を出せたことはよかったと思っています。
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