ゆうこす、辻愛沙子が語る“好きなことで生きる”術

2019/10/21
10月14日、「U22キャリアデザイン会議」の第2回が開催された。

「好きなことで生きる」がテーマとなった今回のゲストは、"モテクリエイター"や起業家として活躍するゆうこす(菅本裕子)と、クリエイティブディレクターとして若年層に響く企画を数多く生み出す現役大学生・辻愛沙子。この日集まった約60名の学生の前で、等身大のトークを展開した。

2人が過去を振り返り、その時々の行動や考え方を語った2時間から、厳選したメッセージをお送りする。
1994年生まれ。(株)KOS代表。かつてはAKBグループのアイドルとして活動。現在はSNSの発信を起点に"モテクリエイター"として幅広く活躍。SNSの総フォロワー数は150万人を超える。
1995年生まれ。(株)カラスのクリエイティブディレクター。「お台場ウォーターパーク」の空間デザインやタピオカ専門店「Tapista」のプロデュース、Ladyknows代表などを務め、若年層向けの企画や事業を中心に活躍中。
NewsPicksマーケティングチーム所属。1986年生まれ。社会人10年間で大手企業からマスコミ、外資企業、スタートアップ、フリーランスなど、異なるタイプの組織と働き方を経験。キャリアに多角的な視点を持つ。

発信で「好きなこと」の自信を磨いた

富澤 ゆうこすさんの好きなことって、やっぱり「モテ」とか「ぶりっ子」になるんですか?
ゆうこす そうですね。きっと生まれた瞬間から「おぎゃー♡」だったと思う(笑)。
でも、それが職業になるとは思っていなくて、アイドルを辞めてニートだった時に「なぜ、これをやりたいと思ったのかな?」とか「これはなぜやりたくないのかな?」を振り返っていったら、「モテたい」とか「ぶりっ子」にたどりついたんです。
でも、それで食べていけるなんて思わなかった。
ただ、SNSで発信してみようと思ったんですね。とにかく誰もやっていない方法で「好きなこと」を届けてみようって。SNSっていろんな人と出会えるじゃないですか。一人で考えてウジウジしているより、ボロボロでもいいから出して、少しずつ自信をつけていった。
富澤 やっぱり発信は大事ですか?
ゆうこす めちゃんこ大事です!私も無意識の中に「ぶりっ子」があって、人とコミュニケーションとっていく中で作り上げていったので。もしもSNSでの発信が「ちょっと怖いな」って思う人は、とにかくいろんな人と話しまくるだけでもいいと思います。
 反応もらうの大事ですよね。
ゆうこす 好きなことが1つに絞れない人も多いと思うんです。私もそうで、色々と発信して、その中で一番引っかかったのが「モテ」だったんです。

"陰キャ"でもオタクでもいい。孤独と向き合う大切さ

 私は「孤独と向き合う」ことがすごく大事だと思っていて。
中学で海外に出て、バックグラウンドが全然違う人が集まった環境にいたので、自分についてきちんと知らないと「こういうものを大事にしている」みたいなコミュニケーションができなかった。だから、自分と向き合う時間が多かったんです。
大学とかでも、学食で一人でご飯食べるの、気まずいじゃないですか。"陰キャ"とか言われそうで。でも、あれってめちゃくちゃ大事。
自分と向き合って、ちょっとでも気になるなっていう芽があったら、発信や、人に話してみて掘り下げてみたり。自分自身で掘り下げられる人は、徹底的にオタクになってみるのもいいと思います。
富澤 うなずいてますね、ゆうこすさん。
ゆうこす 自分のことを掘り下げた時間は、きっとニートの時にあって。アイドルだったとか海外にいたとか、色んな経験をしてる人は、結構掘り下げる力強いと思うんですよ。コミュニティが一つだとバイアスかかっちゃうから。
辻 「外」にいくって大事ですよね。
ゆうこす 超ド田舎で育ったんで、世界を知らなかったら、YouTubeとぶりっ子を掛け合わせてビジネスになるなんて考えも持てなかったと思うんですよね。一度、「お金」とか「将来性」のフィルターを外して考えてみても良いと思う。
富澤 就活って、まさにそこがすごく強くて。「会社に入らなきゃ」みたいなフィルターのまま、自分と向き合ってしまう。
辻 私も同年代の人や高校生に「好きなこと、やりたいことありますか?」って聞くと「クリエイティブな、アウトプットで、ダイバーシティを〜・・・」とかで。「難しい!」って思う(笑)。
毎日の選択の積み重ねで、自分の武器とかアイデンティティができると思うので、仕事にしなきゃとか、社会に対して凄いことをしなきゃといったことに捉わずに考えてみては?って思います。

社会で働くのは、ピースがハマる感覚

富澤 好きなことで生きるって、「やりたくないことはやらない」という点もあるのかなと思うのですが。
ゆうこす そうですね。好きなことが、皆同じなわけないですよね。全員が起業したいわけじゃないし、全員がサポートしたい人なわけでもないし。
でも、社会って一人で成し得ないことがほとんどで、一人で何かするってムズいじゃないですか。自分のことを深く知っていて「好きなこと」だけでなく「やりたくないこと」もちゃんと分かっていたら、"ピースがハマる"。
富澤 ゆうこすさんは社長としての目線で、どんな人が魅力的ですか?現状の就活だと「学生時代に力を入れたことは?」とか聞かれるんですけど。
ゆうこす 自分の辛かった経験とかダメな部分ですらポップに話せる人は強いなと思っていて。乗り越えて向き合えてるってことじゃないですか。そういう人は表情でわかる。目からオーラが出てません?(笑)
どんな話も俯瞰して見れていてポップに話せる人、マジ強いと思うんですよ。
 わかる!メタ視点で、自分を主人公だと捉えられる人、最強!
あと、さっきの「できないことを受容する」って本当に強いと思う。私、仕事始めるまで人生に絶望していたんですよ。常識的なことが出来なくて。
「平均」や「一緒」とかを求められるから学校では苦しんだことが多かったんですけど、社会、仕事って少しずつ変わってきていて、誰かができないことがあるから自分にできることがある。そしてそれはお互い様で、"ピースがハマる"感覚がある。
人の10倍やっても半分しかできないことよりも「これなら価値提供できる」ってことを見つけて、いかに貢献できるかを考えてスキルを伸ばしていく。

自分のストーリーはあるか

ゆうこす (急に語り出す)「ゆうこすはぶりっ子なんです。みんなにモテたい、みんなにカワイイって言われたいだけで、別に意地悪も何もしてないんです。それでイジメるのはおかしいし、クラスに一人や二人いる、そういう人の背中を押してあげたいと思って発信しているんです」
って、自分の好きなことや今やっている理由を語れるようになると、ピースがハマりやすくなると思うんですよ。語れるかどうかって大事。
 ストーリーを語れるって超大事!応援したくなるのも、ストーリーに"温度感"が乗っている時。何事も自分ごと化してみて掘り下げる癖があると、好きなことも見つかると思うんですよね。

好きなものが見つからないなら

富澤 どうしても好きなことが見つからないって人も多いと思うんです。そんな人へのアドバイスってありますか?
 もし「自分を掘り下げても何もない、虚無だ!」という人は、とにかく色んなバッターボックスに立ちまくることが大事。出会いは運みたいなものなので、その倍率を高めるために、分母を増やす。
あと、私の周りの「すごいな」って思う方々も、話を聞いてみるといつも恐怖があって苦しんだりしているんです。そう思えば、誰でも一歩目は雑魚なんだから、とにかくやってみるのが大切だと思う。
いろんな可能性があって、領域を越境できる時代。まず手を出してみて、そこから絞って、孤独と向き合い、時に人と会って深堀りしてみる。自分の「好き」を恥ずかしがらずにポップに話してみるといいと思います。
ゆうこす バッターボックスに立ち続けるのは大事。でも、ビビリで怖いなと思ってしまう人は、最初は何かのコミュニティに入るだけでも良い
自分はまだ打席に立てなくても、打ってる人を見て、まず応援してみる立場になって、体験した後は、ポップに考えてみてほしいです。
質疑応答の時間を大きく延長するなど、盛り上がりを見せた今回のU22キャリアデザイン会議。

イベントを運営する学生コミュニティ「HOPE by NewsPicks」も今回の参加者から数名が加わり、第3回開催に向かっていく。
(文:中嶋真帆、撮影:高橋璃空、日野空斗、編集:富澤友則、デザイン:小林将也)