[ニューヨーク 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は、ECBはインフレ目標に上下に対象的なレンジを設け、金融政策を設定する際に幾分かの余裕が得られるようにする必要があるとの考えを示した。

ECBはインフレ目標を「2%に近いがこれを下回る水準」に設定しているが、マイナス金利政策や資産買い入れ策などの極めて積極的な刺激策の導入にもかかわらず、過去8年間の大部分の期間にわたりこの目標は達成できていない。

ECBの刺激策を批判する急先鋒のクノット総裁はニューヨークで開かれた会合で、ECBはインフレ目標を一段と柔軟にし、達成に時間的な余裕を確保する必要があると指摘。「インフレ目標にシンメトリック(上下に対象的)なレンジを設けることが1つの方法として挙げられる。これにより、中銀がコントロールできない問題に対応するに当たり、時間と柔軟性を確保できる」と述べた。

その上で、インフレ目標達成を目指す期間を長期化することでも金融政策戦略を柔軟にできるとの考えを示した。

ECBの金融政策の枠組みについては、次期総裁に就任するクリスティーヌ・ラガルド氏も見直しを実施する意向を表明している。

ECBは9月の理事会でマイナス金利の深掘りや資産買い入れの再開などを含む包括的な緩和措置を決定した。ただ資産買い入れの再開については25人の政策当局者のうち約3分の1が反対。クノット総裁も反対した。