[東京 16日 ロイター] - みずほ銀行の藤原弘治頭取はロイターとのインタビューで、日銀が2016年1月に追加緩和策として導入を決めたマイナス金利政策を巡って「副作用が効果を上回っていないかは、これまで以上に慎重に吟味する必要がある」と語った。政策余地が限られる現状では「(金利の)深掘りに慎重さを求めたい」との認識も、併せて示した。

世界経済の減速懸念から物価動向について日銀は「より注意が必要な情勢になりつつある」との認識を崩していない。今後も必要に応じて、1)短期政策金利(マイナス金利)の引き下げ、2)長期金利目標の引き下げ、3)資産買い入れの拡大、4)資金供給量の増加ペースの加速――を軸に、追加緩和策を検討する構えだ。

ただ、4つの選択肢のうち、マイナス金利の引き下げは銀行経営を圧迫する弊害が指摘され、対策を講じなければ、運用難に伴う年金の将来不安を引き起こす懸念もある。藤原頭取はインタビューで「資金余剰の下で企業の6割以上は実質無借金となっており、調達側のメリットより運用上のデメリットの方が大きい」と、マイナス金利政策の副作用を指摘した。インタビューは7日に実施した。

欧州の金融機関が先行導入している口座維持手数料に関しては「マイナス金利対応とリンクさせて議論されることが多いが、次元の違う話だ」との考えを述べた。現状では「口座維持手数料に限らず、さまざまなサービスや商品について日々研究しているが、現時点で決まった事実はない」とした。

今年7月に懸案だった3系列のシステム統合を完了させたことで「非金融も含めた新たな付加価値提供に向け、大きく前進する礎ができた」との考えも強調し、連携する企業が銀行システムに接続可能となるオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の構築などを通じ、利便性を向上させる選択肢を示した。

(梅川崇、山口貴也)