[北京 15日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が発表した9月の新規人民元建て融資は1兆6900億元(2389億2000万ドル)で、8月(1兆2100億元)から増加し、ロイターがまとめたアナリスト予想(1兆4000億元)を上回った。

中国はここ1年、銀行融資拡大や企業の資金調達コスト低下を目指してきたが、これまでの刺激策と比べて融資は小幅な伸びにとどまっており、経済活動の低迷は続いている。

アナリストは、問題は流動性や信用の不足ではないと指摘。企業の売り上げや利益が増えず、米中貿易戦争が激化する中、企業心理が悪化しているためとみている。

人民銀行高官のRuan Jianhong氏は会見で、当局による実体経済への信用支援は拡大していると強調。全体的な信用需要は引き続き相対的に底堅いとの見方を示した。

住宅ローンが大半占める家計向け融資は、9月は7550億元で、8月の6538億元から増加した。企業向け融資は6513億元から1兆0100億元に増加した。

マネーサプライM2は前年比8.4%増加。アナリスト予想(8.2%増)を上回った。

9月末時点の人民元建て融資残高は前年比12.5%増加。8月末は12.4%増、アナリスト予想は12.3%増だった。

一部のアナリストは、中国の信用の伸びのトレンドを評価するにおいては、振れの大きい前月との比較ではなく、前年と比べるほうが適切と指摘する。中国の信用の伸びは、上半期には緩やかに上向いたが、その後は鈍化している。

キャピタル・エコノミクスのアナリストは最近のリポートで「信用の伸び悩みは、家計と企業双方への銀行融資の減速が背景」とした上で、向こう数四半期の経済成長を巡るリスクの拡大を示唆していると指摘した。

9月末時点の社会融資総量残高は前年比10.8%増の219兆0400億元(30兆9600億ドル)。

社会融資総量には、新規株式公開、信託会社の融資、債券発行など、通常の銀行融資以外の簿外の与信も含まれている。

9月の社会融資総量は2兆2700億元に増加した。社会融資総量の算出方法変更に伴い、8月は1兆9800億元から2兆0200億元に改定した。

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