死者56人、堤防決壊52カ所 台風19号、救助や捜索続く
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台風で100人近い死者行方不明者を出したのは、最近では2011年の台風12号で、これは紀伊半島に空前の大雨をもたらして多くの土石流や洪水被害をもたらしました。特別警報が設定されるきっかけになった台風でもあります。
今回は、過去に台風による水害に何度も見舞われた伊豆半島や関東地方では大規模氾濫は防ぐことができましたが、それでもダムの緊急放流なども見込まれ大規模水害が発生する一歩手前でした。ましてや過去の台風でもここまで極端な大雨となる例がなかった長野や福島、宮城といった関東周辺の県では治水対策の想定を超えた雨量となり大水害となってしまいました。
特別警報も出されていたものの、川の下流域では雨が降ってから増水までの時間差もあり適切な避難行動に結びつかなかったり、時間帯が深夜になったためすでに避難が間に合わなかったりといった状況にもなりました。
今までの治水対策ならば、より頑丈で壊れない堤防を作るところですが、適切な遊水池を作ることで時間を稼いだり、水に浸かりやすい後背湿地における事前避難の徹底を図ったりするなど多角的な対応が必要であるように思われます。
昨年の台風21号をはじめ、今年の15号にも台風として記憶に残るような命名をすべきではないかとの議論が政府内にあるようです。基本的には伊勢湾台風クラスの猛烈な台風にのみ命名をしたいのが気象庁の意見のようですが、今回の19号も間違いなく話題に上るでしょう。台風15号の被害をみて、多くの人たちが「風」への備えに力を注いでいたと思います。しかし、台風19号の災厄は「雨」でした。恐るべき「水害」をもたらしました。そして首都圏の被害が懸念される中、深刻な被害は、長野、福島、宮城でした。千曲川の決壊が北陸新幹線を止めることになるとはまさか想定されていませんでした。日本の治水は、世界でも例をみないほどに整備されたものと言われていました。しかし、施設の劣化が進む一方で、地球環境が劇的に変わりつつあります。日本にとって21世紀は、災害の世紀になると懸念されていましたが、現実のものになりつつあります。