『ハマるしかけ』の著者が説くスマホとの正しい付き合い方

2019/10/15

テック業界が熱狂したベストセラー

かつて、シリコンバレーの製品やサービスを定着させるためのハウツー本『Hooked ハマるしかけ』がベストセラーになったニール・イヤール(41)。
新著では、その「しかけ」から自分を解き放つ方法を説いているが、『ハマるしかけ』を書いたことを後悔してはいないと語る。
『ハマるしかけ』の中でイヤールは、消費者を夢中にさせるスマートフォンのアプリをつくるためには「顧客の行動をさりげなく促し」、「ユーザーが何度も戻ってくるようにする」ことが秘訣だと指摘。数々のテック企業を訪れて、少しずつ変わる報酬や予測不能なタイミングで訪れる快感などを駆使し、ユーザーの心をつかみ続けるための4ステップから成る「フック・モデル」を説いてまわった。
「少しずつ変わる報酬を提供するものの典型例は、スロットマシンだ」と彼は同書の中で書いている。
シリコンバレーは『ハマるしかけ』を高く評価した。起業家の育成や支援を行う500 Startupsの創業者デイブ・マクルーアは、同書を「ユーザー心理を理解したい全ての企業に不可欠な虎の巻」と称した。
だが、これは2014年の話だ。
当時、スロットマシン型のアプリ開発は楽しい作業だった。「魅力的なインタラクションデザイン」や「ユーザーの行動を変えるデザイン」といった言葉は、憧れと共に語られていた。

「ハマらない」が合言葉の時代