良い仕事をするには、自宅とオフィス以外の「第3の居場所」が必要だ。
インスピレーションを得られる場
人は、自宅とオフィスの2カ所で日常生活の大半を過ごす。しかし、私たちは第3の居場所も求める。社交や関わり、娯楽を求めて、会う人や環境、設備が自分の刺激になる場所を探すのだ。
それは、お気に入りのレストランやバー、コーヒーショップやカフェかもしれない。ひょっとすると、公園やアウトドア施設かもしれない。
オフィスに拘束されずに仕事をする人々が、人々との定期的なつながりやインスピレーションを得るために「サードプレイス(第3の居場所)」(とくに無料Wi-Fiがあるところ)を求めるようになったのは驚きではない。
平均的な週の労働時間が47時間とされる現在、集中力やリフレッシュに有効なこうした外部空間は、企業の従業員にとって欠かせないものになった。
自宅でもオフィスでも味わえない魅力
しかし、サードプレイスの何が人を引きつけるのだろう。サードプレイスは働く人に、自宅やオフィスにはない、どんなものをもたらすのだろうか。
■サードプレイスはニュートラルな場である
自宅やオフィスでは責任がある。家族の世話や家事、あるいはメール送信や会議への参加の違いはあるが、やらなければならないことがあるのは同じだ。一方、サードプレイスでは、期待を押しつけられることも、義務に縛られることもない。そういった、自由な思考を妨げる障害がないのだ。
サードプレイスで束縛から解放された従業員は、インスピレーションを広げることができる。効果的な問題解決のために「もし~だったら」という仮定の問いをたくさん立てられるようになる。
サードプレイスは社交の場である
まずは認めよう。たとえ同僚たちが好きであっても、同じ人々に毎日会っていると、ひと息入れる必要が出てくる。サードプレイスは、その「ひと息」を提供する。
フレッシュな顔ぶれがたくさんいて、新しい人との出会い、興味深い会話、インスピレーションなどの可能性にあふれている。オフィスの堅苦しさや自宅での義務がない空間では、何にも邪魔されることなく、全力で「今」に取り組むことができる。
サードプレイスではインスピレーションと生産性が両立する
サードプレイスは、仕事をする人がサボりに行く場ではない。カフェなどで周囲がざわついているほうが短時間で仕事をこなせるという研究結果もある。
サードプレイスには、われわれを「いつもの閉ざされた環境」から解き放つユニークな力がある。精神的な閉鎖状態から抜け出すのに役立つのだ。
サードプレイスには柔軟性がある
人がたくさんいるラウンジの喧騒が好きな人がいれば、スパや別荘のような静かな環境のほうが仕事がはかどる人もいる。
サードプレイスを複数設置する余裕がある大きな会社は、ワークスタイルの違いに対応できるよう、内装を変えることができる。従業員は、自分が重視するポイントにあわせて空間を選択できるようになるだろう。
バンクーバーにあるSlackのオフィスは、素朴な中に現代的なアクセントが効いたデザインで、暖かい環境照明が落ち着いた印象を全体に与えている。
カフェスタイルのサードプレイスも、落ち着ける空間だ。控えめで趣味がよい照明とクッション、座り心地のいい座面が、このスペース全体を柔らかい雰囲気にしている。サードプレイスの考え方を取り入れた、非常に心が休まる環境になっている。
最も効果的なサードプレイスとは
サードプレイスをすばらしいものにするのは何だろうか。そこには、リラクゼーションと娯楽とリフレッシュが関係してくる。
レストランやバー、ラウンジ、スパなどを参考にしている企業では、サードプレイスが活気の中心になっていることを学んでいる。シカゴにあるGogo Inflightのオフィスや、ダラスにあるSpirit Realty Capitalのオフィスでは、ラウンジ兼ゲームルームのようなサードプレイスが取り入れられている。
会議を終えて、明るく風通しがよい健康的な雰囲気に包まれると、じつにさわやかな気分になるものだ。身体がリラックスするだけではなく、頭にとっても文脈を変えるきっかけになる。
数時間ぶっ通しで取り組んできた仕事からいったん離れる感覚になり、新しい思考パターンに入れる場合もある。議論が続いていても、サードプレイスに来るとペースが変わり、気分転換が新しいアイデアにつながる。
気分転換のためのサードプレイスは、オフィスとまったく別に設ける必要はない。従業員の世代が移行すると、オフィスの文化も変わっていく。今の経営陣は、バランスの取れたオフィス環境の提供が、企業の収益にプラスになることを理解している。
楽しくてインタラクティブなサードプレイスや、静かで内省的なサードプレイスをオフィスの青写真に組み込むことで、収益につながる生産性と従業員の社交をバランスさせるという恩恵を得ることができる。
サードプレイスをオフィスに組み込む
従業員たちに喜ばれるサードプレイスを提供するのに、大掛かりなリフォームは必要ない。好ましいスパやラウンジをモデルにしよう。そういった場所を好ましいものにしているラグジュアリな要素に力を注ぐのだ。
快適な家具、リラクゼーションや楽しみをもたらす小さなクッションのあるソファ、飲み物を用意できる場所、気持ちのよい内装、そして誘うような照明を用意しよう。
サードプレイスを設置するスペースは、たいていオフィスにすでに存在している。おしゃべりや休憩、あるいはプレッシャーからの待避のために従業員たちが集まる場所があれば、そこをサードプレイスの魅力を備えた場所に設計変更する検討をしよう。
中庭やテラスも絶好の場所だ。手を入れて、サードプレイスと呼べるものにしよう。大事なのは、広さの大小ではなく、使い方だ。
20年ほど前から、従業員の生産性や最適な働き方に関する雇用側の理解が進んできた。快適で健康的な環境づくりとバランスの取れた効果的な職場の推進に、かつてないほど前向きになっている。
サードプレイスなどでの従業員の社交は、チームワークや信頼の醸成、コラボレーションの実現に役立つ。サードプレイスは従業員に対して、その職務要件が正当で重要であることを示すインクルーシブなオフィス環境にも貢献する。
サードプレイスは、仕事や職場関係における満足を従業員にもたらすための有益で創造的な方法だ。長い目で見れば、素晴らしいアイデアや才能ある労働者をひきつけることができるだろう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Jeff Pochepan/President, Strong Project、翻訳:緒方亮/ガリレオ、写真:Pekic/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.