すべては日々の感謝から始まる

「リモートワークの会社には文化がない」。リモートワークの職場と聞いてまず思い浮かぶのは、疎遠で分断された環境だろう。しかし、決してそんなことはない。完全分散型の会社でも、深い結びつき、そしてもちろん職場の文化を築くことができる。
すべては感謝から始まる。
最近の研究から、職場で折に触れて感謝されると、よく眠れるようになり、頭痛が減って、健康な食生活になりやすいことがわかった。こうした個人の恩恵はわかりやすいが、組織にも明確な影響がある。病欠が減り、充足感の高い人々が毎日、最善をつくすことができるのだ。
このことは、私も創業者兼CEOを務めるAha!で経験してきた。Aha!は完全分散型の組織で、かつ感謝の文化を築いている。この2つの特徴は、意外に思うかもしれないが、密接に関連している。
ただし、それを実現するためには努力が必要だ。とくに、私たちの会社は急成長を遂げて、今や100人近いチームメイトが働いている。
私たちがこのアプローチを重視する理由は、ささやかな親切が、物理的に同じ建物で働いていないときもいかに大きな意味を持つか、立ち止まって認識するためでもある。さらに、チームとしてより多くの努力と気遣いを促し、士気を持続させることにもつながる。
感謝を忘れない環境づくりは、どこから始めればいいのだろうか。リモートワークのチームで感謝の文化を育てるステップを見ていこう。

1. チームスピリットを築く

同僚のつながりを増やすと、組織全体に対する感謝が高まる。米ビンガムトン大学の研究チームによれば、自分が一員であり評価されていると感じられる職場環境を助長することは、充足感と従業員同士の信頼を高めることにつながる。
Aha!では月1回、社内の誰かと無作為にペアを組んで動画付きチャットで自己紹介をするプログラムがあり、誰でも自由に参加できる。

2. 感謝を伝える空間をつくる

チームが感謝を共有する場所が必要だ。私たちは年2回の全社ミーティングに合わせて、「ハットで感謝」を実践している。おどけた帽子(ハット)を順番に回し、かぶっている人に全員が感謝の言葉を浴びせるのだ。
さらに普段から、社内のグループ用メッセージングツールを使って仲間への感謝を共有している。たとえば「頼み事をすると、ジェニファーは二つ返事で引き受けてくれる。今日も直前に頼んだのに、顧客の対応をカバーしてくれた」という心からの具体的なメッセージは、チーム全体に効果がある。

3. 大きな実績を祝う

チームを頻繁に祝福する。何か大きなことを達成したときは、とくに重要だ。たとえば、テレビ会議の最後に時間を取って素晴らしい仕事に感謝を伝え、当人がカメラの前で、自分が達成した重要な目標やプロジェクトについてコメントを言うのもいいだろう。
あるいは「バーチャルパーティー」に同僚を招待するのもよいだろう。テレビ会議への飛び入り参加も歓迎で、順番にお祝いを述べて、画面越しに乾杯。チームに新しい仲間が加わったときもお祝いしよう。

4. お返しは気前よく

リモートワークをしているチームは、社会に何かを還元する際に、より影響力のあるやり方を選ぶといい。
私たちも全米各地や国外に向けて還元している。そして、より広いつながりを求めて「Aha!ケアーズ」というプログラムを立ち上げた。会社の金銭的な寄付の受取人として、Aha!のチームメイトが地元の非営利組織を選ぶのだ。
さらに、年間1日有給のボランティア活動日があり、チームメイトが直接会って、一緒にボランティアをする。多くのチームメイトが、1年間で最も楽しい思い出の1つに挙げる活動だ。
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感謝の文化を育むことが、かつてないほど重要な時代になった。世界はより多くの思いやりを必要とし、すすんで周囲を励ます人々を求めている。
あなたも自分のチームを励ます人になろう。そのために必要なのは、日々感謝を大切にさせること。それだけでいい。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Brian de Haaff/Co-founder and CEO, Aha!、翻訳:矢羽野薫、写真:http://www.fotogestoeber.de/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.