[ニューヨーク 10日 ロイター] - ニューヨーク外為市場ではドルが下落し、対ユーロやポンドで2週間ぶり安値を付けた。米中通商協議を巡る期待や英国の合意なき欧州連合(EU)離脱の確率が低下しているとの見方から、ドルの安全資産としての投資妙味が薄まった。

ジョンソン英首相はこの日、アイルランドのバラッカー首相と会談し、英EU離脱を巡り、合意に向けた道筋が見いだせるとの見解で一致した。

米国と中国は同日、閣僚級の通商協議を開始。中国国営新華社によると、劉副首相は協議に先立ち、米中貿易摩擦の一段の悪化を防ぐために、中国は通商協議で双方が重要と見なす問題について合意を目指す意向だと述べた。

テンパスのシニア通貨トレーダー、フワン・ペレス氏は「英国が離脱協定案を巡りEUと合意する可能性が高まり、米中協議が進展を示す中、安全資産としてのドル需要は後退している」と述べた。

OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は「米中が何らかの通商合意もしくは部分的合意などが実現すれば、欧州資産への支援材料となる」と述べた。

終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.4%安の98.70。一時2週間ぶりの安値を付けていた。

ポンド/ドル<GBP=>は1.9%高の1.2447ドル。一時2週間ぶり高値を更新し、1日としては7カ月ぶりの大幅な上昇率を記録した。

ドルに並び安全資産とされる円も売られ、対ドルで一時1週間ぶり安値を更新。終盤のドル/円<JPY=>は0.4%高の107.89円。

ユーロ/ドル<EUR=>は2週間ぶり高値を更新。その後は0.3%高の1.1004ドルで推移した。

朝方発表された9月の米消費者物価指数(CPI)は前月比横ばいと、市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で今年3回目の利下げを決定するとの観測を裏付ける内容となったものの、為替相場の反応は限定的だった。

市場では、85%の確率で、FRBが今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施するとの見方を織り込んでいる。月初時点では53%だった。

ドル/円 NY終値 107.96/107.99

始値 107.40

高値 108.01

安値 107.39

ユーロ/ドル NY終値 1.1004/1.1008

始値 1.1024

高値 1.1034

安値 1.1003