[東京 10日 ロイター] - ファーストリテイリング<9983.T>は10日、2020年8月期の連結営業利益(国際会計基準、IFRS)が前年比6.7%増の2750億円を見込んでいると発表した。国内外のユニクロ事業が好調で、過去最高益を更新する。日韓関係の悪化により苦戦している韓国事業については、柳井正会長兼社長が、戦略の変更はないとの考えを示した。

リフィニティブがまとめたアナリスト14人による営業利益予想の平均値は2978億円で、会社計画はこれを下回った。

海外ユニクロ事業は、円高が業績を約5%押し下げ1桁の増収にとどまる。ただ、為替影響を除くと、増収ペースは14.5%伸びた前年と同水準だという。

海外ユニクロ事業の新規出店は168店、純増は141店を計画している。グレーターチャイナ(中国大陸・香港・台湾)では100店舗の出店、東南アジア・オセアニアも40店舗の出店を見込んでいる。

今月ニューデリーにインド1号店を出店、今秋には2店舗を計画している。柳井社長は「インドには13億人の人口があり、平均年齢は27歳と若く、飛躍的な成長が期待できる」と述べ、今後の拡大に期待を示した。また、12月上旬にはベトナムに1号店を出店する予定。

不買運動などの影響を受けた韓国事業は「7月から現在に至るまで、非常に厳しい状況」(岡崎健グループ上席執行役員CFO)で、今期は大幅な減収減益を余儀なくされる見通し。

ただ、柳井社長は、韓国事業の戦略変更の有無を問われ「全く考えていない」としたほか、先行きについても「その国の国民のために良い服を元気よく明るく提供する。ずっと続くことはない。楽観的に考えたい」と述べた。

19年8月末の韓国での店舗数は188店となっている。

一方、前期に赤字幅が縮小した米国事業は通期での黒字化を見込む。

国内ユニクロ事業は2桁の増益を計画。既存店売上高は前年比2.5%増、そのうちEコマースは約30%増を見込んでいる。これによりECの構成比は11%超となる見通し。ジーユー事業も増収増益を見込む。

10月からの消費増税の影響について、岡崎CFOは「若干駆け込み需要はあったが大きな影響を受けるものではなかった。景気への影響はこれから見極めるが、消費環境は非常に厳しい」と述べた。

また、こうした状況下での価格戦略については「増税で価格をどうこうは考えていない」(岡崎CFO)とした。

<海外ユニクロ、売上収益1兆円超え>

2019年8月期の売上収益は前年比7.5%増の2兆2905億円、営業利益は同9.1%増の2576億円となり、今年7月時点の売上収益2兆3000億円、営業利益2600億円という通期見通しをわずかに下回った。

海外ユニクロ事業は売上収益が初めて1兆円を超えた。営業利益は前年比16.8%増の1389億円で、国内ユニクロ事業を超えた。

一方、上期に減益と苦戦した国内ユニクロ事業は、下期に営業増益に転じた。通期では前年比13.9%減の1024億円となった。

*内容を追加しました。

(清水律子)