デーリー・オーストラリア、乳業セミナー開催 供給ひっ迫で価格上昇
2014/05/09, 日本食糧新聞
デーリー・オーストラリア(DA)はこのほど、東京都墨田区のKFCホールで日・豪の乳業メーカーや商社などを招き「乳業セミナー」を開催、豪州の乳業界や国際乳製品市場の最新情報を発信した。来日したピーター・マイヤーズ国際貿易開発部長は、日豪EPAの成果などを中心に語り、ノーマン・レパチョリ市場リサーチ分析担当マネージャーは世界の乳製品市場の展望について語った。
ピーター・マイヤーズ部長は「オーストラリア乳業界で何が起こっているのか」と題して講演。生産者支払い価格のファームゲート乳価が改善しているにもかかわらず、財政難などで増産されていない。13年7月/14年6月シーズンは90~92億LとDAは予想しているが、来シーズンの14/15年度は乳価が引き上がり2%ほどの伸びを期待しているという。
また、豪州国内では、メーカーの再編による乳確保のための競争が起きているという。豪州乳の乳製品輸出市場を見ると、日本が歴史的にも古く最重要視しているものの、12/13年度では日本の構成比19%だが、中国19%、東南アジア圏29%、中東11%、ニュージーランド&太平洋地域7%、その他アジア6%、アメリカ大陸4%、ヨーロッパ3%、アフリカ2%となっており「安定供給と国と国との協定で障害を取り払うことが重要だ」と述べた。
日豪のEPAについて、特にチーズの成果を詳細に説明。その他の乳製品の成果についても解説した。
ノーマン・レパチョリマネージャーは、世界の4大供給国としてニュージーランド、EU28ヵ国、アメリカ、オーストラリアを挙げ、特にニュージーランドが最もシェアを拡大しているほかUSAも輸出に積極的だと示した。
一方、需要は特に中国の成長が著しいほか、ロシアやブラジルが自国の供給ギャップを埋めるために購入の攻勢を強めている。また価格に敏感なのがアルゼンチンやエジプト、安定した長期的な伸びは東南アジア、成長の可能性としてミャンマーやイランなどを紹介した。
現在、乳製品の国際相場が高騰していることについては、供給の逼迫(ひっぱく)が商品価格の上昇を招いていると指摘。今後の展望については、(1)世界の供給の伸びに期待(2)各市場がリンクし需給関連性が高い(3)需要ショックを無視できないとして「さまざまな兆候を見逃さないようにしなければならない」と強調した。アメリカやニュージーランド、北欧は今後供給の伸びが期待できるものの、米国の金融政策や中国の経済動向など需要ショックが無視できない状況となっている。また、乳の供給減の中で、世界中が粉乳など利益率の高い製品を製造しており、チーズの価格は上昇中。ただし、米国の先細り感が乳の需要を弱体化するほか、粉乳製品が過剰供給されれば価格が下がりチーズ製造に転換されることが予想されるという。
今後も、世界中で政府の加入が減少することで市場は透明化されるが、農場の生産コストの増大や変化のスピードがアップすることで「相場の上昇・下降の変化も早まる」と予想している。
(山本大介)
Copyright (c) 2024 日本食糧新聞社. All Rights Reserved.
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題