【藤原和博】キャリアを飛躍させるなら実践したい2つのアクション

2019/10/12
最前線で活躍するイノベーターたちの講義をオンラインでお届けする、アカデミア会員限定の動画講義『MOOC』。

今回はキャリアに悩むビジネスパーソンに「100万人に1人になる方法」を伝授し、教育改革実践家として活躍する藤原和博氏のMOOCのダイジェストをお届けする。

*MOOCはNewsPicksのYouTubeチャンネルで全話無料でご覧いただけます。

100万人に1人になるための土台作り

「100万人に1人」の希少性をゲットするにはどうすれば良いのでしょうか。
私は「キャリアの大三角型」を作れるかが鍵を握ると考えています。
MOOC Episode1より
大三角形を築くには、「3つのステップ」が必要です。
1歩目は社会人としてスタートすること。企業に入社し、部門に配属されるのがほとんどのパターンでしょう。
そこで1万時間頑張れば「100人に1人」の希少性をゲットできます。これにより軸足が一つ固まります。
MOOC Episode2より
そして次に2歩目を踏み出して、もう一つの軸足を固めます。これは1歩目が営業なら次は営業企画というように、ファーストキャリアと近いところに踏み出せば問題ありません。
ここでも1万時間やり切れば、2つ目の「100人に1人」の希少性をゲットして軸足が固まります。
そして、「100人に1人」の希少性を掛け合わることで「1万人に1人」の希少性になれるのです。これにより、食っていくための土台が完成します。

3歩目は「大ジャンプ」すべし

しかし3歩目の踏み出し方は、2歩目の踏み出し方とは大きく異なります。
なぜなら、あなたが持つ希少性はこの大三角形の面積によって決まるからです。
三角形の面積を出すには「高さ」が必要です。この高さが大きいほど三角形の面積は大きくなります。
なので、土台となる底辺の近くではなく、そこから大きく離れたところに「ジャンプ」する必要があるのです。
MOOC Episode3より
概念的な話だけでは伝わりにくいかもしれないので、ここで私の例をお伝えしましょう。
私の1歩目は営業マンでした。お客様と商談したり、プレゼンをしたり、1万時間は仕事しました。
そして2歩目は営業マネージャーとして、マネジメントを1万時間経験。キャリアの掛け合わせによって「1万人に1人の希少性」を持つ人材になりました。
しかし3歩目、ここで私に迷いが生じました。一体どう踏み出せばいいのかーー。
営業、プレゼンができる人材はリクルートから次々と誕生します。さらに優秀な若手はITスキルや英語も身につけています。
MOOC Episode3より
そこで私は40歳の時に一念発起してリクルートのフェロー(年俸契約の客員社員)という立場で独立しました。年俸が0円から4,500万円まで幅があるリスキーな立場です。しかし、自分が追いたいテーマを追える「自由」を手に入れました。
この自由を活かし、紆余曲折ありながらも3歩目の踏み出し先を見定めます。それが、東京都の義務教育では初の民間校長です。
私は民間校長として5年間で1万時間の経験を積みました。これにより、私のキャリアの大三角形は完成したのです。

「報酬マトリックス」で価値観を明確に

私もかつて迷ったように、この3歩目をどうするかはキャリアの大三角形を築き「100万人に1人」の希少性を持つ上で最大のハードルです。
そこで、今回はこの3歩目を見つける2つの方法をお伝えします。
まず1つ目は「報酬マトリックス」を用いてキャリアを考える方法です。
MOOC Episode4より
人は働いていると様々な報酬を得ます。
一番わかりやすいのは左右の「お金にまつわる軸」です。
右側は経済的な報酬、「年収」や「ストックオプション」はこれに当たります。
一方で経済的でないものも報酬として得ています。例えば、「自己成長の場」であったり、仲間と何か成し遂げたときの「充実感」などです。
私だと「自由な時間」がすごく大事です。人によっては家族が大切、趣味の時間が大事というケースもあるでしょう。
MOOC Episode4より
経済的な報酬と経済的でない報酬はトレードオフの関係になっています。
そして報酬マトリックスの縦軸、これは上に行くほど「組織的パワー(権力)」を志向し、下に行くほど「個人的パワー(プロ)」志向になります。
両者は逆方向のパワーですので、これも自分はどちらに該当するか見極める必要があります。
新入社員だと、最初は「権力」や「年収」を求める方が多いでしょう。
確かに20代ならこの考え方で構いませんが、30代・40代なら一度立ち止まって自分でベクトルの方向性を決めなければなりません。
そしてベクトルの方向性を定めるには、ある「問い」が欠かせません。
MOOC Episode4より
それは「年収が半分になっても譲れないものは何か」という問いです。この問いに対する答えを30代・40代は持っておく必要があります。
「自分が譲れないものは何か」分かっている人は会社でも人事と交渉ができます。いざとなれば「昇給はいらないから自由な時間をください」という要求も可能です。
私がフェローとして自由に自分のテーマを追えるようになったのも、「権力」や「保証」を捨てたからです。

「災難」が大ジャンプのきっかけになる

3歩目を見つける2つ目の方法は「災難に遭う」ことです。
私が見てきた「100万人に1人」の希少性を持つ人材は病気やリストラ、大災害などをきっかけに3歩目を踏み出した人が多いです。
またエリートの中には、あえて被災地や貧困地域に飛び込み、自分自身が生きる意味を自問自答する人もいます。
実際、私も病気という災難が第3歩目を踏み出すきっかけの一つになりました。
20代の頃は営業マンとして昇進・昇給を果たして、イケイケドンドンになっていました。
MOOC Episode5より
しかし30歳を過ぎてから、自分がやっている仕事とやるべき仕事の間にできた乖離がストレスになり「メニエール病」という心身症を患ってしまいます。
めまいが起きて、目の前の画像がグルっと一回転する気持ち悪さが原因で仕事にも支障をきたすようになりました。
眩暈を止める対処療法のため2週間毎日注射を打ったのですが、後遺症が5年ほど残りました。
これにより、今までのように働けなくなった私は昇進・昇給を目指す働き方は諦めざるをえなくなったのです。
しかしそれが一つのきっかけとなり、イギリスに留学をしてヨーロッパの成熟社会を学んだり、40歳からフェローという立場で自分が追いたいテーマを追えるようになり、3歩目を踏み出せるようになりました。
私をはじめ、災難をきっかけに3歩目を踏み出した方はたくさんいらっしゃいます。そして、大ジャンプのチャンスが巡ってきたら安売りしてでもすぐに飛び込まなかればなりません。
「チャンスの女神には後ろ髪はない」という格言もあります。しかしここまでご覧になった方なら、チャンスを掴めるはずです。
MOOC Episode5より
NewsPicksアカデミアでは、2019年8月30日に開催された藤原和博氏のイベント「100万人に1人の人材になる方法〜大ジャンプしたミリオンズの軌跡〜」をまとめたイベント動画を配信しております。

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(構成:山田雄一朗)