[ソウル 8日 ロイター] - 韓国のサムスン電子<005930.KS>は8日、第3・四半期の営業利益が前年同期比56%減の7兆7000億ウォン(64億4000万ドル)になるとの見通しを示した。新型スマートフォン「ギャラクシーノート10」シリーズの販売が好調で、市場予想をやや上回り、業績回復を期待する声もでている。

リフィニティブ・スマートエスティメートによるアナリストの予想平均は7兆1000億ウォン。前年同期は過去最高の17兆6000億ウォンだった。

売上高は前年同期の65兆5000億ウォンから5.3%減少し、62兆ウォンとなる見通し。

サムスンは、米アップル<AAPL.O>や中国の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]との競争が激化するなか、次世代通信規格5G対応や折りたたみ式のスマートフォン(スマホ)で攻勢をかけている。

アナリストは、「ギャラクシーノート10」が8月23日の発売以降、韓国と欧州で売れていると指摘し、第3・四半期が市場が予想したほどの営業減益とならないのは、スマホ事業の戦略が功を奏しているためだとみている。

稼ぎ頭であるメモリー事業は、世界経済減速や、主要顧客であるデータセンターの投資減速を背景とする価格下落で打撃を受けたが、来年には安定すると思えるような兆しがみえる。

HI投資証券のアナリスト、Song Myung-sup氏は「他社がまだ投入していない折りたたみ式スマホを、サムスンは来年量産する予定で、スマホのハイエンド市場をリードするだろう」と指摘。さらに、データセンターからメモリーの注文が入っており、価格の下落に歯止めがかかるとの見方を示した。

ギャラクシーノート10は、韓国での販売台数が同社史上最速で100万台を突破。欧州でも販売も伸ばしている。

アナリストは、ファーウェイの製品が米国の禁輸措置の対象になったことは、世界スマホ市場のシェア拡大という点でサムスンにとって追い風とみる。

カウンターポイント・リサーチのシニアアナリスト、Jene Park氏によると、サムスンが欧州や中南米の普及モデルや低価格モデルでもファーウェイを追撃。価格が大体180─249ドルで主に中国国外で売れている、ファーウェイのスマホ「オーナー」は3月以降、販売が急減しており、サムスンの新型Aシリーズの販売が伸びているという。

<メモリー事業の回復カギに>

ただファーウェイ問題は、サムスンにとって良い話ばかりではない。ファーウェイは、スマホではライバルだが、メモリーチップの得意先でもある。

一部アナリストは、米中貿易戦争の影響を考え、メモリー事業の先行きに一段と慎重な見方をしている。

サムスンの利益は昨年第4・四半期以降、減少が続いており、今四半期も、米中貿易戦争が重しとなり、減少する見通しだ。

ケープ・インベストメント&セキュリティーズのアナリスト、Park Sung-soon氏によると、サムスンのモバイル事業は利益全体の20%と、メモリーチップ事業よりはるかに小さい。

同氏は「したがって、スマートフォン販売が好調でも、同社のすべての問題を解決できるわけではない」とし「メモリーチップ事業の主力顧客であるデータセンターは当面、保守的な投資を続ける見通しだ」と述べた。

サムスンは今月、決算の詳細を発表する予定。

8日のソウル株式市場でサムスン株は2.41%高で終了した。

*内容を追加しました。