深刻化する「薬価高騰」を防ぐ成功報酬型新薬
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なかなか難しい制度です。
奏功率10%の薬を使用して、薬価が今のままなら、単純計算では薬にかかる費用は1/10になります。
しかし、当然そうはならないわけです。実際は成功報酬型で設定される価格は割高ともいえることが多いはずです。では、なぜこの仕組みか。
薬価を製薬企業が決める欧米において、あまりに高価な遺伝子治療薬などが公的保険の適応から外れる中で、使われなくては売り上げになりません。(かといって叩き売りするわけにもいきません)
患者側の納得感が増すことや、そういう形であれば支払いをするという民間保険会社がある(納得感があるということは保険も売れる)という要素があります。
そして、この価格は成功報酬ですので一度決めると価格を下げる可能性は低くなり、製薬企業としても安定した収入源になる可能性が上がります。
日本では記事にある通り、国が薬価を決定し、患者側も限度額を超えた支払いの必要がないことから、こういった制度との相性はよくありません。
ですが、現状では一縷の望みにかけた過剰な適応での薬剤使用という問題もあります。国民皆保険のおかげで、それを患者や保険会社に指摘されることもないからです。
アウトカムベースにするということは、アウトカムを評価するということですので、あまりにも効かない患者にまでやみくもに治療していることを指摘できる可能性があり、医療水準の向上、及び、結果的に薬価を抑制できる可能性もあるかもしれません。
ただし、アウトカムを評価するための検査が増える影響やある程度恣意的に結果を解釈できる検査結果を「よくみせる」医療機関も出てくるかもしれません。
医療自体を評価する必要があるものの既存の監査では不十分だと感じています。
薬に話を戻すと2000年から2018年で世界の薬品売上高が36兆円から90兆円と約3倍になっていて薬価高騰は世界的な問題になっています。
ただし、1970-1980年代と比べると薬剤の開発費も非常に大きなものとなってあり7兆円といった規模とも言われています。
薬価を抑制することだけを考えると製薬企業が持続できません。
薬価が安過ぎるために製造中止となり「必要な薬が使えない」ということは実際にあります。
有効な新薬の創出も抑制してしまうかもしれません。
医療経済は国内も世界的にも転換点を迎えようとしているのかもしれません成功報酬型の支払いは、今のところ賛否両論です。これまで行われてきた研究も、善悪、双方の結果を示しており、どちらに転ぶかはよくわかりません。
既存の研究が示すところは、成功報酬型の導入により短期間では、アウトカムや医師のパフォーマンスが向上したという報告もありますが、長期間にフォローするとその差は消失したという報告もされています。
また、成功報酬型かどうかという点が医師の決断にあまり影響をもたらさない一方、薬価が下がりにくくなるために、かえって支出が増すと報告する論文もあります。
また、外的な「報酬」が与えられ続けると、内的な動機づけ(医師が患者を助けたいという純粋なモチベーション)を弱めると指摘する声もあり、そのような結末を招いてしまえば、それこそ健全な医療は崩壊してしまいます。
この形が本当に良いかは、導入後に実際どのようなアウトカムを得られたかを評価した後でしかわからない、と現時点では言わざるを得ません。個人的には非常に良い取り組みと感じます。
まず、薬剤の高騰とこの取り組みを、全く同じ次元で捉えてはいけないと思います。これはこれとして取り入れ、薬剤の高騰は引き続き議論を続ける必要があると思います。
薬剤の高騰自体は良しとは言えませんが、それなりの成功報酬がなければ誰も新規薬剤の開発には乗り出しませんし、仕方がない側面もあります。
薬価の高騰は薬剤の開発によって起こるため、治療のために薬を作るコストとしてはそこまで高くありません。効果がある時のみの報酬であったとしても製薬会社としては大きな出費にはならないでしょう。
高額効果のあった時のみ高額を請求されるのであれば、現在の仕組みよりも患者としてはフェアネスを感じるでしょう。
追記
ただ、何を持って効果ありと判断するのかは薬剤の使用開始前に医師患者間で明確にしなければトラブルが多発すると思います。