デザインとアートの境界線はどこにあるか?
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注目のコメント
今Netflixで”Abstract: The Art of Design”というシリーズがあります。(The art of... という時のartは美術・芸術よりも広い概念でThe art of negotiationなどと幅広く使われます)
その中で、先日公開されたデンマーク出身のアーティストOlafur Eliassonの回はおすすめです(他の回も面白いです)。
記事内のデザインとアートの峻別の試みについてですが、峻別するのであれば両者はオーバーラップするものであり、依頼の有無は狭義すぎませんでしょうか。例えば
デザインについて:
・依頼関係は明確でしょうか。メーカー等による「発注」は明確ですが、そうして生まれるプロダクトや広告は顧客が発注したものではなく、彼等の内なるニーズや感情に訴求したものでしょう
・この顧客ニーズ・感情を汲み取り新たなプロダクト・広告を生み出す主宰者は、無から何かを生み出しているのでしょうか。それとも、具現化された依頼に基づく営みに過ぎないのでしょうか
・また、主宰者から「発注された」デザイナーは、主宰者に従属する(単に依頼を受けているだけ)と言い切れるでしょうか
アートについて:
・エピソードの中で紹介される作品はEliassonのインスタレーション作品(作品を設置する時空間を総体として一つのアートとするもの)やプロダクトデザインですが、その作品には、人々(鑑賞者)との接点があります
・例えば、物から色を失わせる黄色いライトがありますが、この黄色いライトを広い空間の高い天井に太陽のように据えた作品があります。鑑賞者は先ずそのライトに驚き、そして思い思いに寝そべったりして時を過ごします
・Eliassonがアーティストであることは明白です。しかし彼の作品はその生まれる前から人々と繋がっており、人々の存在をもって完成するように見えます
記事より
「正直今、デザイン業界の人たちも混乱しているんじゃないかと思います。アートとデザインは何の関係もないと言い切る人もいるし……。それは明らかに言いすぎだけど、全部一緒にしてしまうと違いも見えてこないから、どこまでがアートなのか、デザインなのという境目には関心があります。」
「「デザインをする人」と「デザインを必要とする人」がいて、後者がいて初めてデザインは成立すると考えています。」色々な定義があるんですね。個人的には先日、会社の後輩くんに教えてもらってしっくりきたのは、モノから受け手に向けてベクトルが向かうものがアート、受け手からモノに向かうベクトルがデザインとのこと。つまりプロダクトアウトとマーケットイン。作者がなにか表現したいものを届けるのかアートで、あくまでユーザー視点にあわせるのがデザインと理解しました。もちろん二元論ではなく中間はあるんでしょうが
自分本位に内から生まれた表現がアート
顧客本位に外に向けて表現するのがデザイン
あとは受け取り手が、アートとして芸術として楽しむのか、デザインとして工業や広告として機能を汲み取るか次第ってことかな