ビジネスパーソンが陥る「ノウハウ依存症」の正体

2019/10/4
経営学者・宇田川元一氏が、NewsPicksパブリッシングから『他者と働く――「わかりあえなさ」から始める組織論』を上梓した。
本書は、スピーディに変化するビジネス環境の中で見過ごされがちな「正論の通用しない困難な課題」に対して、「対話」をもって切り込むことを提案している。
一口に「対話」といっても、人と人が対面して話すことではない。宇田川氏の提唱する「対話」は、臨床心理学や医療といった、一見ビジネスとは関係ない領域から得た知見に基づく「組織の中で新しい関係性を構築する術」である。
気鋭の経営学者は、現代の企業組織にどのようなことを訴えかけているのか。
著書の刊行にあたり、宇田川氏のインタビューを全3回にわたってお届けする。
宇田川元一/埼玉大学経済経営系大学院准教授。1977年東京都生まれ。 2006年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、2007年長崎大学経済学部講師・准教授、2010年西南学院大学商学部准教授を経て、2016年から現職。 専門は経営戦略論、組織論。 イノベーティブな企業組織をいかに創っていくかについて、新たな物事を生み出す人々・組織の生成にフォーカスしながら研究を行っている。理論的な基盤は、主に社会構成主義に基づくナラティヴ・アプローチなど。 2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。
「ハードな本」が減っている理由
──宇田川さんはこのほど、初の著書『他者と働く――「わかりあえなさ」から始める組織論』を上梓されました。その冒頭で、ビジネスにおける「対話」の重要性に触れ、「知識として正しいことと、実践との間には大きな隔たりがある」とおっしゃっています。宇田川さんにとって、今のビジネスを取り巻く環境はどのように見えているのでしょうか。
宇田川 今の社会には、NewsPicksを始めとして、いろいろなビジネスメディアが林立していますよね。私が学生だった20年ほど前に比べて、書店に置かれている「ハウツー本」の存在感は明らかに増しています。
反対に、ビジネス・経営に関する「ハードな本」が減っているようにも見受けられます。
──どうしてそうなったのか。