(ブルームバーグ): 日産自動車の西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)の正式な後継者選びでは有力候補として3人が浮上しており、今月末の期限に向けて順調に絞り込みが進められている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者が匿名を条件に話したところによると、同社の内田誠専務執行役員(53)と関潤専務執行役員(58)のほか、三菱自動車のアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)(49)の3人の名前が有力候補として挙がっているという。

日産では9月16日の西川氏の辞任以降、山内康裕COOがCEO代行を務めている。同氏も一時は候補者リストに名を連ねていたものの、最終候補には残らなかったようだ。

同社は10月末を後任決定の期限としているが、関係者によると、早ければ東京モーターショーのプレスデーとして設定されている23日までに決めたい考え。また、月末の期限に間に合わなかったとしても、11月初めの第2四半期(4-9月期)の決算発表時までに決める見通しだ。

広報担当の百瀬梓氏は、現在、指名委員会が後任CEO候補の人事案について協議しており、同委の取り組みに配慮しコメントは控えると述べた。3人の候補者に取材することはできなかった。

内田氏は1991年に同志社大学を卒業後、日商岩井(現双日)を経て、2003年に日産に入社した。16年からアライアンス購買担当の常務執行役員を務めた。18年からは中国合弁会社、東風汽車有限公司の総裁を務めており、関係者によると筆頭株主のフランス、ルノー側からも同氏を支持する声があるという。

関氏は1986年に入社。パワートレイン技術統括部の主管や東風汽車の総裁を歴任した。防衛大学校出身という異色の経歴から、一部の関係者からは日本側の意向を重視する人物と受け止められているほか、西川氏の覚えもめでたいとされている。

グプタ氏は日産、ルノーとの3社連合体制の支持者と目されており、ルノー会長で日産取締役でもあるジャンドミニク・スナール氏もグプタ氏を推しているとされる。同氏はインド出身で、96年にホンダに入社し日本やインドで勤務した。その後2009年に、日産とルノーの統括会社「ルノー日産BV」に入社。ことし4月に三菱自のCOOに就任していた。

--取材協力:堀江政嗣、リード スティーブンソン.

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