[シドニー 1日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は1日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを1.00%から0.75%に引き下げた。景気を支援し、失業率の低下を促すことが狙いで、利下げは年初から3度目。必要に応じて金融政策をさらに緩和する方針を示した。

利下げは、概ね市場の予想通りだった。ロイター調査では、エコノミスト35人中25人が今回の25ベーシスポイント(bp)利下げを予想していた。

中銀は6月と7月に利下げを実施。8月は金利を据え置いていた。

中銀のロウ総裁は、労働市場の緩みに対応することなどが利下げの理由だと説明。政策決定と共に公表した声明で中銀は「理事会は本日、雇用と所得の伸びを支え、インフレがいずれ中期目標に一致するとの信頼感を高めるため、政策金利をさらに引き下げる決定を行った」とし、「経済にはまだ余剰能力があり、金利の低下がその活用促進に役立つだろう」との見方を示した。[nL3N26M1IQ]

第2・四半期の実質国内総生産(GDP)は前年比1.4%増と、約10年ぶりの低い伸びを記録した。中銀は、経済は「緩やかな転換点」に達したようだとし、必要なら追加利下げを行う方針を示した。

声明は「理事会は労働市場などの動向を引き続き監視し、経済の持続的成長と完全雇用、長期的なインフレ目標の達成を支えるために必要に応じて金融政策をさらに緩和する」としている。

ロウ総裁は、海外中銀の金融緩和が今回の決定の一因になったと指摘。長期にわたる低金利が必要になるとの考えを示唆した。

先物市場<0#YIB:>が予想する11月の25bp利下げの確率は、30%未満から60%に上昇。

市場では低金利が長期間続くとの見方が広がっており、豪ドル<AUD=D3>は、9月初旬以来の安値となる1豪ドル=0.6706米ドルに下落した。

フィデリティーのクロスアセット担当ストラテジスト、アンソニー・ドイル氏は「中銀は今年、非常に積極的な利下げを進めており、労働市場の改善、賃金の伸び加速、国内消費の刺激に期待を寄せている」と指摘。

「中銀にとって幸いなことに、豪経済の金融政策の波及スピードはかなり早い」と指摘した。住宅ローンの約80%は変動金利型という。

INGのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ロブ・カーネル氏は「通常の利下げはあと3回、ことによるとあと2回しかできない。その後はマイナス金利、量的緩和、債券利回りターゲティングなどに乗り出す必要がある」と述べた。

ロウ総裁はこの日、メルボルンのビジネスイベントで講演する予定。今後の金融政策について、さらに説明するとみられている。

*内容を追加しました。

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