[30日 ロイター] - 共用オフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーは30日、新規株式公開(IPO)目論見書の取り消しを申請、上場計画を撤回した。共同創業者のアダム・ニューマン氏は先週24日に最高経営責任者(CEO)を退任している。[nL3N26F4T2]

IPO中止により、同社が短期的に上場する見通しはなくなり、ニューマン氏の後継者らは多大な情報を開示する必要に迫られず財務立て直しを進めることが可能になる。

ソフトバンクグループ<9984.T>が大株主となっている同社は、長期リースで確保したオフィススペースを短期的に貸し出すビジネスモデルを展開してきたが、その収益性をめぐり投資家の懸念が高まっていた。

IPOの目論見書によると、同社の6月30日時点の現金及び現金同等物は約25億ドル。しかし、2018年には売上高が倍の18億ドル近くに増加する一方で、赤字も倍以上の19億ドルに膨らんだ。

同社は今年8月に銀行から60億ドルの融資合意を取り付けた際、IPOで少なくとも30億ドルを調達することが条件とされた。IPO撤回で、別の資金調達手段を確保する必要がある。

アナリストによると、同社は今後数年間に数十億ドルの資金を使い果たす可能性があり、新たな資金を調達し続けることが必要という。

関係筋2人によると、同社は支出削減や新たな資金調達への依存低減に向け、社員削減や事業拡大ペースの見直しを検討しているという。

現在、ソフトバンクなどと新たな出資についても協議している。

ニューマン氏の後任として共同CEOに就任したミンソン、ガニングハム両氏は「中核事業に注力するためIPO延期を決めた」とし、将来的に改めて上場を目指す考えを示した。

昨年4月に発行された同社の6億6900万ドル規模の高利回り債は30日、IPO撤回の発表を受けて過去最安値に下落。利回りは約11.75%に上昇し、対米国債利回りスプレッドは1000ベーシスポイント(bp)超とこれまでで最もワイドな水準となった。

*内容を追加しました。