【組織論】常識の逆をいく、ベイシアグループ「まとめない」経営
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ベイシアグループは、様々な流通チェーンを分権化された状態で運営している。その意義はどこにあるのだろうか。
「2つ目は、物流、IT、商品開発などほとんどを社長の意思決定の範囲でできる点です。「自分が考える戦略を試してみたい」というのは、経営者なら当たり前に思うでしょう。
(中略)
もしグループで1つの物流になると、全体最適を考えて最大公約数的なサービスしか提供できません。
そして3つ目は、イノベーションの促進です。僕の経験からすると、イノベーションは事業の本丸からは起きません。」
ワークマンやカインズのような粗利益の高いPBで独自のポジションを構築しているチェーンを抱えているのは、なるほどそういうことかと理解した。つまり、彼らはメインのスーパーマーケット事業とは全くことなるオペレーションであり、異なるリソースを必要としている。
何かに似ていると思ったが、これは、経営史の大家チャンドラーの『組織は戦略に従う』のデュポンの事例に似ている。デュポンも軍事技術を転用して化学メーカーへと事業を広げた時に、事業部制組織を導入して分権化を図ることでイノベーションを推進した。
ちなみに、この本を書いたのは1962年、アンゾフがシナジー効果を謳ったのは、1965年。多角化においては、範囲の経済性(シナジー効果の本質の部分)は確かに不可欠だが、どの部分で範囲の経済性を発揮させるのかは、経営者の極めて重要な決定するべき点である。
その意味で、ベイシアグループのやっていることは、突飛なことではなく、極めて正統的なものだ。だが、多角化がなされる場合、あまりイノベーティブでなくなるのは、本業との間の表面的なシナジー効果(同じシステムの導入や流通網の別事業での活用)を優先させてしまうからかもしれない。
「くみまちモール」は、シナジー効果の面白い例で、顧客の来店機会をグループで相互に利用している。遠心力を働かせながらも、どの点においてシナジー効果を発揮させるのかを考える上で、極めて興味深い事例だと言える。HDが強すぎると個別事業の自由度を縛ることがあるのは指摘の通りだと思いますし、従って「遠心力」経営をしていることは良くわかりましたが、だからこそ「同じグループでいるメリットは何か?」に切れ込んで欲しかった。HDは強制しないが、距離が近いことで様々な取り組みをお互い「参考にする」とか、切磋琢磨するなどがあるか、コストサイドで何かバイイングパワーが効いているものはないか、シェアードサービス的にバックオフィスが共通化されているとかあるのか、資金調達でメリットはないのか、はたまた上記も含めて「完全独立」なのかはとても関心があります
ベイシアグループが、グループ内の企業同士で自由に競って成長しているというのは非常に面白いです。彼らはそれを「遠心力」を経営に効かせると言います。
なぜ、そのような組織でうまくいっているのでしょうか。語っていただいたのは、創業家の2代目の土屋さんと、カインズの高家さんです。
土屋さんは、特に創業家企業の中でも、引き継ぎがうまくてきた例として注目を集めています。