[6日 ロイター] - 独製薬大手バイエル<BAYGn.DE>は6日、米メルク<MRK.N>のコンシューマーケア事業を142億ドルで買収することで合意した。これにより、バイエルは一般用医薬品メーカーとして米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)<JNJ.N>に次ぐ世界2位の地位を維持する。

バイエルのデッカーズ最高経営責任者(CEO)は声明で「今回の合併は、魅力的な非処方せん薬(市販薬)事業を世界的にリードする上で、画期的な節目となる」と述べた。

買収手続きは2014年後半に完了する見通し。メルクは税引き後の売却益は80億─90億ドルになるとの見方を示した。

関係筋によると、メルクのコンシューマーケア事業に対しては、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)<PG.N>、独ベーリンガー・インゲルハイム、スイスのノバルティス<NOVN.VX>、仏大手サノフィ<SASY.PA>なども関心を示していた。

バイエルは買収により、流通ネットワークを効率化させたい考え。

メルクは足のケアブランド「ドクターショール」やスキンケア「コパトーン」などを保有。バイエルは消炎鎮痛剤「アスピリン」を開発。この他、皮膚薬「ベパンテン」、真菌症治療薬「カネステン」などを手がけている。

製薬業界では世界的に再編が進んでおり、スイスのノバルティス<NOVN.VX>は前月、英グラクソ・スミスクライン(GSK)<GSK.L>の抗がん剤製品群を145億ドルで買収することで合意したと発表。

このほか、米ファイザー<PFE.N>が英アストラゼネカ<AZN.L>の買収に向け提示額を630億ポンド(1060億ドル)に引き上げたものの、アストラゼネカは拒否するなど攻防が続いている。

一般用医薬品業界に限っても世界的な再編が加速しており、ノバルティスは前月のGSKとの合意の一環として、コーンシューマーケア事業でも合弁会社を設立して協力することで合意。

ノバルティスとGSKの合意により、バイエルは同部門で世界2位から3位に落ちるはずだったが、メルクの事業買収により2位の地位を維持することになる。 一般用医薬品市場ではJ&Jのシェアは約4%、メルクは約1%となっている。

今回の合意に併せ、バイエルは肺動脈高血圧症の治療薬「アデムパス」のほか、実験段階にある心臓血管疾患の治療薬の一部の権利をメルクに売却することで合意した。

*内容を追加して再送します。