インドネシア鉄道高速化 日本と事業概要で合意 実現へ本格調査
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日本にとって絶対に落とせない「日本のインフラ輸出」案件でしたので一先ず事業概要で合意に達して良かったです。
ただ、昔、ジャカルターバンドン(記事にある別の区間)では元々日本が発注する予定でだった案件が中国勢の攻勢が激しくひっくり返された経緯があるので事業化調査やファイナンスが付き最終合意するまでは油断できません。
本件の資金調達は官民パートナーシップ(Public Private Pertnership(PPP))と呼ばれている枠組みを使う予定で、それによりインドネシア政府は「借入債務」ではなく民間業者により鉄道が運行された場合のみ支払いが実施される「商業契約上の債務」を追うのみなので国の格付けへの影響が軽くなります。PPPへの拘りは投資適格を取得して間もないインドネシアが財務規律を重視している結果だと思います。
鉄道は日本の得意分野であり、日立による英国の高速鉄道を始め、タイの鉄道、ドバイの地下鉄やインドの新幹線等、海外展開が進んでいて、日本にとってはビックビジネスです。「計画の実現に向けた調査」について合意です。
昔話をします。私が外務省に入った1999年よりも数年前ごろから、当時の日本の世論はタイドローンには極めて批判的で、アンタイドローンにすべきという流れでした。タイドローンは、つまり、日本企業の受注ありきの「紐付き援助」とも呼ばれていました。
アンタイド化した結果、日本のお金で外国企業が受注する事例が出てきました。そのなかには中国や韓国の企業もあります。
そして近年は「質の高いインフラ輸出」のスローガンのもとに官民一体化していく。なぜ日本のカネで他の国の企業が設けるのだ、という問題提起もありますし、国内市場の限界から海外で事業をやらないといけない。鉄道や道路等々は、企業が単体でたるには事業リスクが高すぎることもあり、官民一体となってやっていくとの流れに。(自国企業の受注にはテクニカルに仕掛けをしておく必要がある) 再タイド化というと不正確ですが、実質的には、日本企業が受注するような仕組みにするため、過去に批判された「紐付き」という仕組みに近いものがあります。
世論はその時々の情勢によって変化するのは当然ですが、それにしても移ろいやすいものと感じます。