【新】製薬会社の元研究員が〈ニセモノ〉の薬を売る理由

2019/9/27
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、「プラセボ製薬」という奇妙な名称の会社を経営する水口直樹氏だ。
プラセボ製薬は、ずばり「偽薬」、すなわち有効成分を含まない「ニセモノの薬」を販売する会社である。といっても、ありもしない薬効をうたったりしているわけではない。見た目には薬にそっくりな「食品」を、合法的に販売しているのだ。
水口氏は、この「偽薬」が医療費削減をはじめ、現在の医薬品にまつわるさまざまな課題を解決する糸口になると考えている。
そのカギとなるのが、社名でもある「プラセボ(プラシーボ)」効果だ。
プラセボ効果とは、ご存じのとおり「薬理作用によらない暗示的治癒効果」のこと。医療の現場では、医薬品などの効果を確認するための比較手段として用いられるのが一般的だ。
例えば、ある医薬品と、薬効成分以外はまったく同じ偽薬を別々のグループに飲んでもらい、両方のグループで効果が現れたなら、それは「薬効成分によるものではなく、プラセボ効果だった」ということになる。
一方、水口氏の発想は、プラセボ効果をもっと積極的に活用しようというところからスタートしている。
大手製薬会社の研究員であった水口氏が、プラセボ効果に注目するようになったのはなぜか。また、その先にどんな社会を見据えているのか。健康業界の「異端児」の視点に迫る。
水口直樹(みずぐち・なおき)
1986年、滋賀県生まれ。プラセボ製薬株式会社代表取締役。2010年京都大学薬学部卒業。2012年同大学院修了。製薬会社に研究開発職として入社。2014年退社独立、現在に至る。
「ニセモノ」も使いよう