【成功のカギ】サブスクリプションブームの落とし穴

2019/9/25
月額制など定額制で商品やサービスを提供する「サブスクリプション(サブスク)」ビジネスに注目が集まっている。サブスクは映画や音楽はもちろん、衣料や家具、家電、さらにはラーメンやおむつにも定額制の採用が広がっている。
企業にとって、サブスクというビジネスモデルは、一度契約できれば、安定的に収入を得られるメリットがある。ただ、なんでもサブスク化すればいいというわけでもない。
第2回では、サブスクに取り組む日本企業が見落としがちなマーケティングのキモについて、立教大学ビジネススクール教授の田中道昭氏、世代・トレンド評論家の牛窪恵氏が解説する。

サブスクの誤解

──サブスクを採用する例が増えています。ただ、普及しなかったり、他社にまねされて儲からなかったり、必ずしもうまくいくわけではないようです。
田中 動画配信のネットフリックス、音楽配信のスポティファイや、アマゾンプライムなど、サブスクが台頭しています。やがて全産業を覆いつくすだろうと言っても大げさではない勢いです。
ただ、サブスクを「支払い形式の違い」と捉えてしまうと、うまくいきません。商品の売り切りではないのはもちろん、商品をリピートして購入してもらうことでもありません。継続的で良好な顧客との関係がサブスクなのです。そのため、商品やサービスを一回売って終わりというビジネスを長く続けてきた企業は、ビジネスの発想を根源から切り替える必要があります。