[ハーグ/アムステルダム 23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は23日、ECBがこのほど決定した包括的な緩和策について、一部は「不釣り合い」だったとして改めて批判した上で、ECBはインフレ目標の幅の拡大を検討する必要があるとの見解を示した。

同総裁はオランダ議会の財政委員会で、終了期限を設けない量的緩和は「不釣り合いな措置」だったとし、「新たなプログラムを全体としては支持していない」と述べた。

このほか、市中銀行が預金にマイナス金利を適用した場合、預金者がどのように反応するのかは分からないと指摘。「こうしたことは過去に事例がないため、何が起こるか分からない」とし、銀行から預金が流出する事態になる可能性もあるとの見方を示した。

ただ、オランダでは市中銀行が預金にマイナス金利を適用する可能性は「比較的小さい」とし、これを禁止する法令の制定は必要ないとの見解を示した。

デンマークでは同国2位の銀行、ユスケ・バンク<JYSK.CO>が残高が75万クローネ(11万1100ドル)以上の法人個人の預金口座に12月1日から0.75%のマイナス金利を適用することを明らかにしている。

ECBは12日の理事会で、マイナス金利の深掘りのほか、量的緩和の再開など包括的な追加金融緩和策の導入を決定。ユーロ圏成長の下支えや物価の押し上げに向けあらゆる措置を講じる決意を示した。

ECBがインフレを中長期的に2%に近いがこれを下回る水準とすることを目標としていることについては、マイナス金利政策や終了期限を設けない債券買い入れ策などの影響の先行き不透明性が高いことを踏まえると、「幅が広いインフレ目標の設定」を検討することが理にかなう可能性があるとし、「『中長期的』とは何を指しているのか議論を深めると同時に、どの程度の正確さで目標の達成を目指すべきなのか討議する必要がある」と述べた。

世界的な低金利傾向については、「主な要因として資本市場における金利低下が挙げられる」とし、中銀の低金利政策が最も重要な要因ではない可能性があるとの考えを示した。

ECBのドラギ総裁がオランダとドイツは景気支援に向け財政出動を行う必要があるとの見解を示したことについては、ユーロ圏経済全体にとってはためになるとしながらも、オランダ経済には必ずしもためにならないとの認識を表明。ただオランダの債務の対国内総生産(GDP)比率が50%を下回っていることを踏まえると、将来的な歳出拡大の検討は理にかなうとの考えを示した。