【検証】品切れ続出。アップルを超えたワイヤレスイヤホンの実力

2019/9/24
イヤホン同士をつなぐコードすら存在しない、本体が完全に独立したタイプのワイヤレスイヤホン「完全ワイヤレスイヤホン」が今、売れている。
香港の調査会社、カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチによれば、完全ワイヤレスイヤホンのグローバル市場は、2019年第2四半期に2700万台に到達した。前四半期比56%の成長率だ。
市場をけん引するのは米アップルの「AirPods(エアーポッズ)」。同調査でも全体の約5割のシェアを押さえ、日本でも縦長の白いイヤホンを耳に着けて街を歩く人をよく見かける。
1万7800円(税別)という、イヤホンとして決して安くない値段にもかかわらず、オーディオ愛好家だけに限らず幅広い層に受け入れられている。
しかしこの夏、その「一強」状態に待ったをかける新製品が、国内オーディオメーカーの大本命から登場した。
ソニーの「WF-1000XM3」だ。品切れになる店舗が続出し、7月12日の発売開始以降、現在も量販店などでは品薄状態が続く。
調査会社BCNジャパンによれば、日本国内市場の約4割を占めるAirPodsに次ぐシェアで猛追しているという。
今年の夏、ソニーは販売台数ベースで圧倒的な伸び率を叩き出している
価格はAirPodsよりもさらに高い2万5880円(税抜)にもかかわらず、なぜ、ソニーのワイヤレスイヤホンは大ヒットしたのか。開発者へのインタビューと、製品レビューを通じて分析する。

「ワイヤレスで高音質」の需要

ソニーのイヤホン事業は大きな伸びしろを秘めた領域だ。
ソニーが20年ぶりに過去最高益を更新した2017年にオーディオ事業も20年ぶりの増収を達成。それをけん引したのが、ノイズキャンセリングやハイレゾに対応した高級ワイヤレスヘッドホンだった。