リモートワークで働くチームメンバーは、少なくとも1年に1度は実際に顔を合わせるべきだ。メンバーが一緒に過ごす、特別な時間を有効に活用するための秘訣を5つご紹介しよう。

最高の時間を一緒に過ごすために

告白すべきことがある。リモートビジネスを展開する企業のCEOを10年務めてきた私は、もう滅多なことでは動じないと思っているのだが、そんな私が毎年動揺することがある。
わが社の経営陣は、毎年直接顔を合わせる機会を設けている。チームは成長している。つまり、毎年集まるたびに新しい人がいる(知っている人もたくさんいる)。初めてのデートのときのように私が落ち着かなくなるのは、年に1度このときだ。
興奮もするし、非常に緊張もする。なぜだろう。それは、リモートで働くメンバーと顔を合わせる「チームミーティング」はただの役得ではなく、1年でもっとも大切な時間でもあるからだ。じつはこのチームミーティングの数日間、仕事はしない。
それでは、リモートで働くメンバーが集まる最高のチームミーティングを開催するための5つの秘訣をお教えしよう。

1. 戦略については語り合うが、実務は一切しない

チームミーティングを始めたばかりのころは、仕事を片づけることに力を入れていた。みんなで会議室にこもり、一緒にプロジェクトに取り組んだ。正直言って、生産性は在宅で働いているときとあまり変わらなかった。そしてみんな、物足りない気持ちで帰っていた。
一方で、仕事の話をまったくしないのもよくない。仕事をテーマにした時間を持つことで、緊張をほぐすことができるからだ。まだ共通性が見つからない場合に、話題を提供できる。ビジネスの将来についてチームを奮い立たせる絶好の機会でもある。

2. コンフォートゾーンから少し踏み出して、新しい刺激的な場所に行く

「冒険」と「快適」のバランスがちょうどよい場所を見つけるのは、難しいかもしれない。ある人にとっては行きすぎと思えることが、別の人にとっては普通のことかもしれないからだ。
私たちは昨年、ミーティングを開催する場所について意見を出し合った。バリ島という突飛な案や、ニューヨークというごく一般的な案が出た。結局その中間を取って、メキシコに落ち着いた。
メキシコは、冒険好きなメンバーにもアピールするだけの非日常性があるが、バリ島ほど無謀な場所でもない(バリ島に行くには、ワクチンを何本も打つ必要があるうえに、20時間のフライトに耐えねばならないのだ)。
誰も行ったことのない場所に行くことは、チームワークを高めるうえで役に立った。ATMを探したり、メスカル(リュウゼツランを主原料とするメキシコ特産の蒸留酒)とテキーラ(特定のリュウゼツラン品種から法定の産地で製造されるメスカル)は何が違うか考えたりするのは、ちょっとした冒険だった。

3. ばかばかしくて面白くて、くだらなさに大笑いできるチームビルディングのアクティビティをする

社員を洞窟に連れて行ったり、彼らに料理を習わせたりするのは、たしかに少し奇妙な感じがするし、ばかげていると思われるかもしれない。しかし、こうした類のアクティビティが役に立つのには理由がある。面白いのだ!
一緒に笑い、一緒に創造し、何か新しいことをひたすら一緒に経験することは、チームの絆をつくるうえで上手いやり方だ。よく言うように「一緒に遊ぶチームは、長続きする」のだ。

4. 優れたところを褒め合う

直近のチームミーティングで、人事部のマネージャーが面白いゲームを考え出した。名づけて「私を褒めて」ゲーム。その旅行の間中、私たちはときどき立ち止まり、それぞれが付箋を取り出して、チームのメンバー1人1人について、優れているところを1つ書いた。
そのようにして、1人1人を互いに認め、褒める時間を取ることは大切だ。「同僚の書いたメモを読むのがとても楽しかった」と、誰もがコメントしていた。私は自分のメモを取っておいた。じつを言うと、そのメモを読んで少し涙が出た。

5. 入念に計画を立て、必要に応じて修正する

前回のチームミーティングの出発前、オフィスマネージャーはこと細かに旅行の計画を立てていた。そしてメキシコにいる間に、彼女はこの計画を少なくとも6回は修正した。
行き当たりばったりだったなら、信じられないほどストレスが多い旅行になっただろう。だから、事前に入念に計画を立て、必要に応じて柔軟に修正することが大切だ。
チームミーティングの初日、マヤの遺跡を見に行く途中で思いがけず、ビーチを通りかかった。そして私たちは、ビーチを見渡せる場所でプラスチックの椅子に座り、新鮮なシーフードを食べることになった。
この出来事をあらかじめ計画するのは無理だっただろう。だが、素晴らしくうまくいった。チームが、気構えることなく仲良くなれる機会になった。
それは、予想していなかった状況を活用する機会にもなった。天気は完璧で、漁を終えたばかりの漁師たちと会うことができたというチャンスだ。渋滞にはまっていたバスを降りて、ちょうどよい休憩になった。
前述しように、こうしたチームミーティング中は、あえて仕事をしないようにしている。しかし、洞窟に泳ぎに行くバスの中で、計画していたわけでもなく仕事の話になり、その結果、抱えていた最大の問題のひとつを解決することができた。こうしたチームミーティングは、社員にも会社にもメリットがあるのだ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Carrie McKeegan/CEO and co-founder, Greenback Expat Tax Services、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:Delpixart/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.