世界を見渡せば、優秀な人材はいくらでもいる。遠隔地の人材を雇い、管理することは、かつてないほど容易になっている。

どこに住んでいるかは関係ない

どこに住んでいるかということは、何を生み出すことができるかに比べれば、まったくと言っていいほど関係ない。
賢い企業や中小企業の経営者は、さまざまなタイムゾーンに暮らす専門家を活用している。太平洋岸北西部に住む会計担当、ワシントン州に住む公認会計士、カリフォルニア州に住む開発者、ニューヨークのバーチャルアシスタント、フィリピンに住むデザイナーなどだ。
仕事は、事実上どこでもできる。これらの場所はすべて、筆者の拠点であるアリゾナ州スコッツデールから遠く離れているが、遠隔地の人材を雇い、管理することは、かつてないほど容易になっている。
そのための具体的な手順をお伝えしよう。

バーチャルアシスタントで「外注」に慣れる

もし何かを外注した経験がないのであれば、おそらくいくらかの練習が必要だろう。最も手軽な方法は、バーチャルアシスタントサービスを利用することだ。
バーチャルアシスタントに何かを依頼すると、多くの場合、内容を明確にするための質問が返ってくる。そうでなければ、バーチャルアシスタントは意図とまったく異なることをする可能性が高い。しかし試行錯誤を繰り返せば、頼みたい仕事の内容を説明するのがとても上手になるはずだ。
たとえば「夕食の予約を取ってほしい」という依頼も、いずれ次のように変わるだろう。「鉄道駅から徒歩5分以内、4つ星以上のイタリアンレストランの予約を、午後7時ごろで取ってほしい」
望み通りの結果がほしいのであれば、具体的に説明する必要がある。そうしなければ、望み通りの結果は得られないだろう。

信頼できる相手を紹介してもらう

筆者は、最初の会社を立ち上げて間もなく、600ドルをだまし取られた。シャツを仕立ててもらうため、パキスタンのオンライン企業に送金した600ドルだ。言うまでもないが、筆者は信頼関係がもつ力について貴重な教訓を得た。
外注先を見つける最善の方法は、ほかの人から紹介してもらうことだ。近所の人材か外国に住む人材かにかかわらず、紹介にはとても大きな価値がある。
筆者は、過去のクライアントから複数の開発者を紹介してもらった。元クライアントは数年間、その開発者たちと仕事をしていたため、筆者はすぐに信頼することができた。

マーケットプレイスを利用する

紹世界規模の外注チームを構築するため2番目に良い方法は、マーケットプレイスを利用することだ。仕事を依頼する側と依頼される側の仲介役を果たすマーケットプレイスは、取引が円滑に進むよう手助けしてくれる。
依頼者が支払った報酬は通常、マーケットプレイスがいったん預かる。納品が完了し、依頼者が満足して初めて、報酬の受け渡しが行われる。
マーケットプレイスの短所は、マーケットプレイスで見つけた人材と、マーケットプレイスの外で関係を維持することがほとんど認められていない点だ。また、マーケットプレイスには手数料がかかるため、外部で取引するより支払いが多くなりがちだ。
それでも、一時的に人材が必要な場合や、バーチャルチームの管理スキルを高めたい場合などには、マーケットプレイスはとても役に立つ。

バーチャルチームの人材を雇う

完璧な人材が見つかり、チームの一員として迎えたくなったとしよう。まずは、弁護士や公認会計士、人事の専門家に相談しながら、ほかの地域に暮らす従業員や業務委託者に関連した自治体、州、連邦レベルの税金、法律を理解することが必要だ。
しかし、いったん準備が整えば、世界中でフルタイムの人材を雇うことにはさまざまな利点がある。
第一に、24時間体制で顧客に対応できる。世界の裏側に従業員がいることは、オフィスに夜勤を導入することに匹敵する。顧客は素早い反応を喜ぶだろう。
次に、目覚めたら仕事が進んでいるというのは最高の気分だ。筆者が最も好きな電子メールは、開発者たちから午前7~8時ごろに届くもので、筆者が眠っている間に完了した仕事のことが書かれている。
ほとんどのタイムゾーンで、1日のどこかで勤務時間が重なるため、チームミーティングを開き、全員のつながりを保つことができる。
チームメンバーに十分な仕事を与え、ほかに負けない報酬を支払い、勤務環境に満足させ続けている限り、フルタイムで活動するバーチャルチームをつくりあげるうえでのいちばん大きな課題は「人材を見つけること」になるだろう。

チームメンバーと定期的かつ効果的にコミュニケーションを取る

世界各地で働く人々と、どのように連絡を取り合えばよいのだろうか。オフィスの従業員と同じ方法を使えばいい。もし「Trello」や「Asana」のようなシステムをプロジェクト管理に使っているのであれば、リモートで働く従業員の追加も容易にできる。
筆者はチーム全員と「Slack」を使っており、一日に何度かチェックし、質問に答えたり、最新情報を得たりしている。画面共有もよく利用する。そうすれば、連絡を取り合うだけでなく、リアルタイムで共同作業ができる。

オールスターチームを編成する

筆者が最も伝えたいことは、フルタイムの人材でも、パートタイムの人材でも、外国の会社でも構わないから、何らかの外部支援に投資したほうがいいということだ。会社のニーズを単純化し、素早く処理してくれるような人材を探そう。
筆者がいま活用しているチームやサービスがなければ、これまで成し遂げられたことは今の半分にも満たなかっただろう。世界中に人材がいることは、会社の生産性が上がり、顧客が幸せになることを意味するのだ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Chris Ronzio/Founder and CEO, Trainual、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:MassimoVernicesole/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.