燃え尽き症候群を引き起こすリスク

在宅勤務と聞いてみんなが思い浮かべるのは、外に出てゆったりとランチを楽しむとか、ソファに座ったままで仕事を終えるとか、パジャマ姿のまま1日過ごすといったイメージだ。
たしかに在宅勤務を初めとするリモートワークにはそういう面もあるが、いいワークライフバランスを作り出すにはそれなりの工夫が必要だ。
仕事とプライベートな生活のバランスを維持するのは大切なことで、そうでないと燃え尽き症候群を起こしかねない。
2017年にクロノスとフューチャー・ワークプレイスが行った調査では、対象企業の46%が「過去1年間の退職者のうち、燃え尽きが理由だった人が20~50%に上った」と回答した。ストレスや不安に耐えられなくなったとき、従業員はやめていく。
リモートワークのいいところは、雇用主にとっても従業員にとっても働き方の選択肢が増えることだ。
自宅の快適な環境で働いていると、オフィスと同等の生産性と時間管理を求められていることを実感するのは難しいかもしれない。なかなか自分を律することができず、締め切りを守ったりきちんと仕事を進めるのが大変なこともあるだろう。
以下では、在宅勤務でいいワークワイフバランスを生み出すためのヒントをご紹介しよう。

1. 仕事だけのための場所を作る

ソファや寝室、キッチンなど、自宅の好きな場所で仕事をしたいと思うかもしれない。
だが家のあちこちで仕事をするようになると、家全体が生活の場ではなく仕事場になってしまう。仕事に使った部屋に入ると、そこでやった仕事のことが思い出され、生活の場と仕事場の線引きが難しくなり、よくないワークライフバランスにつながってしまうのだ。
環境が原因で日常生活と仕事を切り離すことができないと思ったら、やり方を見直す時だ。家の中に仕事やタスクを終わらせるためだけに使う場所を作ろう。仕事用の座り心地のいい椅子と机に投資し、写真や好きな名言、好きなアート作品を飾って自分好みのスペースを作るのだ。
このスペースを作ったからと言って、ソファやキッチンのテーブルで仕事を一切してはならないという意味ではない。ただ、このスペースに座ればタスクを終わらせる心構えができ、仕事モードに集中することができる。
一定の場所を仕事と結びつけることで、そこにいる時は気持ちが仕事に引きつけられるようになる。それが仕事スペース作りの目的だ。

2. 仕事のスケジュールを決める

たいていのリモートワークでは、勤務時間はフレキシブルで夜遅くに仕事をしようが朝早い時間にやろうが構わない。自分に一番都合のいい時間帯を選んで生産性を上げられるのはすばらしいことで、仕事の質の向上につながるだろう。
だが仕事をだらだらと引き延ばし、休む日もなくこなすようなやり方をしていると、危険な領域に足を踏み入れるようなことになりかねない。
毎日少しずつ仕事を進めていくやり方だと、自由時間が持てている実感がなかなか持てない。精神的に、終わりのないブラックホールに入っているような気分になるだろう。
厳格かつ他の日に食い込んだりしないように、仕事のスケジュールを守れるように最善を尽くそう。週末に働きたいというなら頑張ればいいが、休日ゼロは避けるようにしよう。特定の時間帯を仕事の時間とし、その間は生産性を高く保つことで燃え尽きを防止するのだ。

3. 休むべき時間はしっかり休む

リモートワークで一番まずいのは、休息を取っているはずの時間に働くことだ。
自分がいなければ会社はつぶれてしまうと本気で思っているなら、それは人手不足に他ならない。自分がいなければ、もしくは自分が通常の業務をやっていなければ、この世の終わりが近付いてしまう……そんな気分になるのはおかしい。
コンピューターがあまりに近くに置いてあると、たとえくつろごうとしている時でも、電子メールをチェックしたりメッセージに返事したり、これからの作業を確認したりしたくなりがちだ。
平日の勤務時間に集中するのと同じように、休みの時間を大切にしよう。心の健康のためを思えば、リラックスして自分の時間を過ごし、充電すべき時は仕事に手をつけるのは厳に慎むべきだ。
働いていない時や単に個人的なことをやっている時に罪悪感をおぼえる人もいるが、これはナンセンスだ。誰にでもビジネスがどうなっているか気にかけることなく、リラックスして生活を楽しむ資格がある。
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一定時間、懸命に働き生産性を高く保つことが重要なのと同じように、くつろいでのんびりし、何もしないことを楽しむことも大切だ。
いいワークライフバランスを作り出すことができれば、仕事でもプライベートでも達成感を味わえるし、仕事のことがつねに頭から離れず仕事外の時間を楽しめないようなこともない。
自分なら仕事と日常生活のバランスをどう作るか考えてみよう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Thomas Griffin/co-founder and president of OptinMonster、翻訳:村井裕美、写真:ExperienceInteriors/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.