会社にも従業員にも多くのメリット

パジャマ姿で仕事をしているのかと、たいていの人は私に聞く。いつも寝ているのかとか、日中に休憩を取って運動をするのかと聞く人もいるだろう。「イエス」と答えるのはこのうちの1つだけだが、私は自宅で仕事をするのが好きだとはっきり言える。
実際、リモートワークには利点がある。雇われる側にも雇う側にもだ。リモートワーカーの80%以上がストレスが少ないと感じ、ミレニアル世代は企業にリモートワークを認める柔軟性を求めていることは統計でも示されている。
生産性と効率性もリモートワークによって上昇すると考えられている。つまり、リモートチームは採用にも、効率的で生産的で健全な労働力の構築にも役立つのだ。
同じ場所にいる人々の間でもチームを築くことは簡単ではなく、リモートチームならなおのことだ。素晴らしいリモートチームをつくり、その恩恵を享受したい人のために、7つのヒントをお教えしよう。
これらはリモートワークを実践し、自ら経営する会社のリモートワーカーとともに働く私個人の経験と、リモートワークの専門家らの意見に基づいている。

1. コミュニケーションが鍵

どんな素晴らしい人間関係でもビジネスでも、何でもそうだが、コミュニケーションが鍵だ。しかし、メンバーが異なる場所にいる状況では簡単ではない。幸運にも、ツールとプロセスを組み合わせることで良いコミュニケーションを築くことができる。
ビデオ会議は、互いの顔とボディーランゲージを見ることができる点で、電話よりも深いつながりを築くことができる。ビデオ会議サービス「Zoom」はこれまでになくビデオ会議を簡単にし、多くの企業は「カメラは常時接続」というルールを設けている。
コラボレーションソフトウエアの「Slack」は、デスクトップ版とモバイルアプリ版があり、日常のコミュニケーションを簡単かつ効率的にする。外部のソフトウエアとの連携もでき、チームにとって最大限のコミュニケーションを可能にする。
プロセスは良いコミュニケーションを維持するのに必要な枠組みだ。
リーダーは日常的なコミュニケーションのルールを明確に定め、リモートワーカーが対話できるようにすべき時はいつで、どのツール(Slack、メール、電話など)を使用するのかを決めておかなければならない。優れたテクノロジーも正しく使わなければ役に立たないのだ。

2. 有意義なつながりを深める

人間は社会的動物であり、つながりを必要とする。リモートチームを管理する際には、あらゆる機会を利用して有意義なつながりをつくり、育むことが重要だ。
「真の人と人とのつながりを築くことは、分散した環境においては大きな課題だ」と、ギットハブの人材開発部門を率いるニキ・ルスティグは言う。「電話をかけてすぐに議題を持ち出し、議論を始めるのは簡単だが、互いを知ることができるようなチームの決まりごとを作ることを検討すべきだ」
ギットハブの世界の従業員の半分以上はリモートワーカーで、ルスティグは分散したチームと働くことにおいてはエキスパートだ。そんな彼女からのアドバイスは、リーダーが1on1ミーティングでもチームミーティングでも、メンバーの様子を聞き、それぞれの状況を共有することから始めることだ。
また、各メンバーが週末の出来事を話し合うなど、自身について共有し合うことも大切だという。最後に、プロフィールの画像には、アバターではなく実際の写真を使うようにしよう。

3. 対面する機会をつくる

良好なリモートチームを構築している企業は、従業員が実際に一緒に過ごせるようにすることで、有意義な関係づくりを促進している。チームメンバーがディナーやボランティア、アウトドアの活動をともにするための予算とリソースを割いている。
社外での集まりを最低限1度は設けるべきだが、つながりをできる限り強くするために、四半期ごとに小規模な会合を開く企業もある。

4. 採用とチーム管理に役立つソフトウエアを活用する

テクノロジーはリモートチームのコミュ二ケーションを助けるだけでなく、管理職が適切な人材を採用し、チームを管理するのにも役立つ。賢明なリーダーはソフトウエアを活用して効率的に時間を節約し、より優れたチームをつくり、管理する。
リモートチームに優秀な人材を採用する利点は、候補者の居住地や転居に対する希望に関係なく選考できることだ。かといって、採用の競争が激しくないわけではなく、企業はあらゆる手段を活用する必要がある。
「Turning」は、あらかじめ選抜された有能な技術者をリモートチームに採用するのに活用できるサービスで、人工知能(AI)を使ったモニタリングやマネジメントも可能だ。ソフトウエア使って人材を探すことで、時間とコストを節約できる。
マネジメントに関しては、プロジェクトのマネジメント以上の手助けをしてくれるソフトウエアを見つけよう。必要なのは、チームをより上手くマネジメントでき、あなたがより良いリーダーになれるようなソリューションだ。
「15Five」は管理職が目標を設定し、週ごとに状況を把握し、1on1ミーティングを深めるためのソフトウエアプラットフォームだ。管理職の負担を軽くし、リモートチームにありがちな「盲点」を把握する助けにもなる。
リモートチームのリーダーらは、ソフトウエアは人的資源、労働力の最適化、リーダシップを向上させるために使用すべきだと勧める。

5. チームの成長のために投資する

悪いリーダーは部下にタスクを課す。素晴らしいリーダー(と素晴らしい企業)は、チームを継続的に教育し、成長させるために時間とエネルギーを投資する。それはリモートチームに対しても同じだ。
「人材開発は従業員に対する特典や優遇制度というだけでなく、素晴らしいチームと有能な労働力を構築するための投資だ」と、ギットハブのラスティグは指摘する。
「リモートチームにおける課題は、とくにグローバルな場合は、従業員がいる各地域に特有のニーズと学習スタイルを満たすことだ。ギットハブは毎年、人材開発のための給付金を支給しており、従業員は書籍、カンファレンス、オンラインワークショップ、メンターなど、自分が望むものを好きなときに好きな方法で学ぶことができる」
学習は、個人的かつプロフェッショナルとしての成長の鍵であり、人材開発にリソースを投じることを最優先にすべきだ。多くの場合、リモートチームを設けることで削減できたコストをそれにあてることができる。また、従業員が興味のあることを、最も効果的な方法で学習できるように支援しよう。

6. 正しい基準に重点を置く

従業員がオフィスで働いていれば、労働した時間の感覚をつかむのは容易だが、チームがリモートで働いているときは難しい。企業とリーダーはこの事実を受け止め、またそれが一部の人にとってリモートワークを好む大きな理由の1つであることを認めるべきだ。
リモートチームを率いるときは、本当に重要な基準に焦点を置くこと。従業員の勤務時間ではなく、目標、結果、行動を重視する。最も重要な要因は、リモートワーカーがー自身の目標を適時にプロらしく達成することだ。仕事を成し遂げるのに費やした時間ではなく、成し遂げた結果を重視しよう。

7. 企業カルチャーを忘れずに

どんな企業やビジネスでも、成功するにはカルチャーをつくり、維持することが重要だ。リモートチームにおいては、離れた距離が企業カルチャーの構築をさらに困難にする。
そのためのツールも存在するが、リモートチームで素晴らしいカルチャーを形成する鍵は、リーダーが行うすべてのことにカルチャーを織り込むことだ。チームミーティングや1対1ミーティング、社外のイベント、会社の集まりなど、どんなものにもだ。
リモートチームのメンバーが、企業の中心的な価値観を理解し、模範から学べるようにしよう。
採用プロセスにおいても、企業のミッションと価値観を常に頭に入れておこう。採用された人がカルチャーを理解し、それに同調していれば、カルチャーを築き、維持することが容易になる。
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私たちはデジタル時代に生きており、テクノロジーは仕事や雇用に関する私たちの考えた方を変えた。リモートチームは、居住地に関係なく最適な人材を採用する効果的な方法だ。高いレベルの満足度と生産性、生活の質をももたらしてくれる。
ここに挙げたアドバイスを参考に、あなたのビジネスがリモートワークのモデルから利益を得られるかどうか見極めてほしい。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Andrew Thomas/Founder, Skybell Video Doorbell、翻訳:中丸碧、写真:Kerkez/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.